詩)都築郷士『ぶうつく』呟きの如く・37 附・詩人の為の秋冬ワードローブ集
好きなんだあんた綺麗で年上だから 郷士
もうこゝに至つては、俳句の面影もない。私は岸本水府にこの句を捧げやう。
※
次郎 むゝ、いゝことがある、かうせうかうせう。それ、お前の藥をおれが買つて、この人に酒代にやらう、又この人の藥をおれが買つて、お前に酒代をやる。これで兩方商ひをしたやうなものだ。
小助 なるほど、これはよいお裁きだ。
銀次 お金をお貰ひ申しまして、又お酒を頂戴して、
岩八 その上藥をお貰ひ申しますとは、
兩人 こんな有難いことはござりませぬ。
-『鼠小僧』(歌舞伎脚本) 河竹黙阿弥、より
(次郎とあるは、鼠小僧次郎吉。勿論、「三方一兩損」の大岡裁きのパロディ。次郎吉は義賊らしく、全部の支払ひを自分がする、と。)
※
【己は詩シがねえ野郎】
歌舞伎町の「Y寿司」でのハプニング
については
以前、書いたな。
要はプチぼつたくりだ。
己たちはホテルのレスト代を
吸い上げられてしまつた。
ケチくさい話はやめにして、
己にとつて思ひ出と言へば
やはり音楽のことなので、
訊いてくれゝば如何に
ギター弾けなくなつたか その過程 -
を教へてあげる。内密にね。
そこに至る迄、新宿と言ふ町が横たはる。
あんまり知つたやうな口は
イカちやんに叱られる、
新宿つ子だもんね。
小山田くんは澁谷つ子で
好対照をなしてゐる、つーのも奇態。
東京砂漠=東京オアシスの温床
己たちみたいな、
池袋ターミナルなセーシュンとは
かなり作法に違ひがあつたなー、など
散文的に「思ひ浮かべて」ゐた..
だから、詩も散文詩だよ、何処へ
行つたのだ僕のガール連中は!
埼玉には埼玉なりの サウンドがある、
(繰り返すが)セーシュンがある、
そして別れがある、
なあ友よ。枯渇した
言葉たちに辛うじてフィルムを巻かさせ
己は東京を去つた、
別段都落ちではない。
地域性の問題*だ。
ぢやさう云ふこつて、
©都築郷士
なーのだ。
※
ろくじういち己の心に沁みるのは失敬なんだが齡トシの美な訳
(©都築郷士)
ホントに失礼。私の胸中美しいをばさんだらけになつてしまつた!抱きしめて抱きしめられると言ふ心の「AC/DC」。
【退場のテーマ】
日本のジーン・セバーグが闊歩する
目抜通りの一つ裏道
地下室にはもち、風紀委員もゐる
ヘンプ切り上げさせて、
バンドに演らせておくれよ!
ヤラセテオクレ、つてあんた焦
まあまたいつか
お会ひしませう わたくしこと、
詩人さんの氣が向いたら。
みんなでさぼてんパーティでもぶち上げやう
うちはさぼてんの花なんだ
季語なんかぢや、ねーさ!
ぢやまた。アデュー!
※
柿もぐや金塗り佛ブツの薄暮おはし 郷士
©都築郷士
* あの成田三樹夫さんだつて、東大中退・山形大卒ではないか。