都築郷士 ちよつとはみだ詩・❲伍七❳ 附・詩人の為の(秋冬)ワードローブ集
..この「human dignity 人間の尊厳」という言葉は私達の胸裡にすぐすっきりとはいりにくい言葉であるから、敢えて吾国流に単純化して、「ただ男の意地がたたないのだ」とでも翻訳してもいいが、ここで一ユダヤ人にひろいあげられたhuman dignityこそ、いってみれば、彼がひろいあげて自らの脇にかかえるべき唯一の「自分の首」なのであつた。-『欧州紀行』埴谷雄高
【「場所」のブルース】
行け 行け 己の中のアジールへ
行け 行け 水鳥つるむ川辺へ
こゝ迄しか降りて來ない
お前は漫画チックな小説家みたいだ
行け 行け 自嘲が花と交代する場所へ
行け 行け 脚韻なき死の半ばへ
次はかう來たかい
そんぢや、そのお次に秘策でも?
行け! もう言葉の世界ではない
行け! お前の依つて立つ地は、
行け。行け。行け。
©都築郷士
【梨】
(月見)
一夜明け酒醒めやらんで団子なし
※
ねぢ曲がる好きと嫌ひの端境期わたく詩ごとをカネにするには
※
梨剥いてくれろ貴女アンタを最後とす
※
絶句すや病ひ重くて毎日を溺れ逆上ノボせし記憶確かとは
(©都築郷士)
今回は特に註はないのです。いつもだつて、出來ることなら、註などチュウ💋のみにしたいのですが......。つゞき。
【虚言箴言】
昼食寸前になると、貴方はそれ以前に負けてしまつた己れの食欲を悔いるだらう。- ラ=ロシュフコオ (大嘘)
昼は案外「どうも胃の辺りがね..」と言ふ人が多い。日本には蕎麦切りと言ふ便利な食ひ物がある。贋ラ公の生きた?頃の西歐では......。
【あきれたぼぅい】
ちよつとした個人的な生活力
よりも、「死ね」とせつつかれて
なほかつ のらくらしてゐられる
曲がつた根性
の方が 私には大切であつた。
さて、最終決断......
私は 黙モダした 完璧な
今日の為に。
私を
殺す
事、
社會
に出
る不
安、
前者について
私は全き無視を決め込む。
©都築郷士
【今夜の金ぼし】
結局は皆酔つぱらひと同様の行ひばらにし分担し止まず
見事、父の恩讐を行ひの基盤にしてゐる。傷ついた箇所に鹽すり込む事のみ、考へて - と言ふより、誘惑に駆られてゐるのだ。家はそろそろ廃材の山と化す。その精神も含めての「逆襲」。
【おしまひに】
する?と私は訊いた。
だつたら良かつたんだけど、
強者が更にマウントを取つてしまつた。
いや、こつちの話。
続くでせう。また、いつもどほりに。アデュー!☺️
※
白頭翁かく云ふ名こそ文化かな
(©都築郷士)オマケ!
追記。巻頭の埴谷氏の文章については、後日改めて論考してみたい。