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★【チーム作り 戦術】サインプレーの準備

(このnoteでは、”強い高校野球チームを作る”方法を仮想の高校を見立て様々な角度から具体的にシミュレーションしております。野球に関わる全ての方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。)
「工藤note高校 野球部」甲子園・日本一までのチーム育成プロセス を考える|工藤

サインは、試合の中で「ベンチから選手」「選手同士」でチームの作戦を伝えるための仕組みになります。
サインは相手に見抜かれずに味方の選手だけわかるよう伝えるための手段になりますが、あまり複雑だと”味方も理解できない””味方が間違える”ケースが多くなります。また(特に高校野球の場合)サインの交換には時間をかけられないため、以上踏まえてサインを決定する必要があります。


サインプレーの種類

サインプレーには
   ”攻撃時のサイン” ”守備時のサイン” ”投球時のサイン”
                          があります。

サインプレーは試合の流れを大きく変え勝敗に直結するワンプレーになることも多いため、”サインの内容を選手全員が理解し、スムーズにプレーできる”ように普段の練習・練習試合で経験を積み本番に向け準備しておく必要があります。

攻撃時のサイン

主なサインの種類としては
● 打て(ヒッティング可)
● 待て(ヒッティング不可)
● (単独)盗塁
● バント
● セーフティバント
● バスター
● スクイズ
● セーフティスクイズ
● ヒットエンドラン
● 進塁打
があります。

守備時のサイン

大きなサインの分類は、
● けん制(内野手→投手 捕手→内野手・投手)のサイン
● 守備位置(捕手→各野手)のサイン
になります。サインは選手間でなくベンチから出るときもあります(ベンチから直接、またはベンチから捕手へ伝達しそこから全野手に)

守備のサインは難易度が高くミスは失点につながる可能性が高いため、サイン内容・伝達方法に関し間違いがないよう普段の練習・練習試合の中で経験を積み準備しておく必要があります。
チームの成熟度によっては、サインでなくベンチからの声かけで対応する(このほうが単純で間違いが少ない。が、相手にもばれる)ことも考えます。

けん制(内野手→投手 捕手→内野手・投手)のサイン

≪プレー前に出すサイン≫
チームとして行なうけん制(ピックオフ等)に対してサインを出します。投手だけでなく内野手に対しても伝達する必要があるため、ブロックサインで出すことが多いです。
≪プレーの中で出すサイン≫
けん制のプレーをタイミングよく行なうために「ここで!」というタイミングで出すサインです。一般的には、捕手の動き(例 ミットを動かす)で投手がけん制をするケースになります。

守備位置(捕手→各野手)のサイン

≪バントシフト≫
相手がバントをすることが想定される場合、打球の処理は基本投手・一塁手・三塁手が担当し行ないます。
このとき、走者をアウトにしバントを失敗に終わらせるためにあらかじめ守備位置から前進し素早くバントに対応できるよう準備するのですが、もし急にヒッティングに切り替えられた場合は前進していると打球がヒットになる確率が高くなってしまいます。また、打者は野手が前進してくることがあらかじめわかっていればバントを成功させるために野手がいない方向にバントをしようとしてきます。

このようにバントシフトは相手チームの動きを予測しながら、リスクヘッジ等も踏まえ決定する必要があります。サインは一塁手・三塁手に対し
● 一塁手が(走者をアウトにできる速さで)前進
● 三塁手が(走者をアウトにできる速さで)前進
● 一塁手・三塁手が(走者をアウトにできる速さで)前進
● 一塁手・三塁手とも(走者をアウトにできる速さで)前進しない
ことを伝えるために出します。

サインの内容は他野手(二塁手・遊撃手 できれば外野手も)も理解しておいてもらい、このシーンではチーム全体としてどのように動くのか?把握(情報共有)できるようにしておきます。

投球時のサイン

投手の投球は、捕手が一球ごとにサインを出して決定します。
● 球種
● コース
● 高さ
● けん制球
● 首を振る
● ウエストボール(スクイズを外す 等)
● ピックオフプレー
等を出すようになり、そのサインに対し投手が違うサインのほうが良い場合首を振り拒否する場合もあります。

サインの出し方

攻撃時・守備時のサインの出し方には「フラッシュサイン」と「ブロックサイン」がありますが、高校野球ではブロックサインが基本になります。

フラッシュサイン

ある動作に対して1つのプレーが連動している、シンプルなサインです。
       (例 帽子のツバを触ったら盗塁、胸を触ったらバント)

ブロックサイン

フラッシュサインの中に 「ダミー」の動き(動きが複数になる)が入れ、相手に解読されにくくするものです。
一般的には、
● キーとなる動きをひとつ決める
● キーの後がサインと決める(キーの次・キーの3つ後 等)
● 実際のサインでは、ダミーの動きを交えて送る
形になります。

≪ブロックサインの例≫
● キーを「鼻」とし、その次に触った場所を”サイン”とする。
● 耳をさわる → バント  口をさわる → ヒットエンドラン
  胸をさわる → 盗塁             とする。
以上を踏まえ、サインを出していきます。(鼻の次がサイン)
● 帽子→鼻→耳→胸    この場合は「バント」
● 耳→口→鼻→口    この場合は「ヒットエンドラン」
● 帽子→口→耳→帽子    この場合は「何もなし」

サインを受けた選手は”了解”という意味で返事をします。
     (例 サインを理解したら、ヘルメットのツバをさわる)

投球時のサイン

捕手が投手に対しサインを出します。指の本数・腕のさわる位置で球種・コース等のサインを出します。

”サインを出す側”の確認事項

個々の選手が”何が得意”で”何が不得意”か?を把握しておく

例えば
● 足が遅い選手に、盗塁のサインは出す。
● バントが苦手な選手に、
        大事な場面でバント・スクイズのサインを出す。
等、明らかにサインを出した側のミス(失敗の確率が高い選手にサインを出す)を出さないように、選手一人一人の得手・不得手を練習・練習試合の中で把握しておくことが重要になります。

得意・不得意の把握方法として、普段の練習の中で入れておくと良いことは、
● 各選手の塁間走のタイムを把握する(盗塁成功の確率を探るため)
(試合の中で)相手バッテリーの投球開始から2塁送球が2塁ベースに届くまでのタイムを測定することで、走者の塁間走のタイムと比較することができます。その比較から「盗塁できる選手」と「できない選手」を把握し、それを踏まえてサインを出します。
もしタイムから見て単独盗塁が難しい場合であっても、ヒットエンドラン等別な方法で仕掛けることも考えることができます。その際も、塁間のタイムはベースの資料として生かすことができます。
● 打者のコンタクト率を把握する(ヒットエンドラン成功の確率を探るため)
(データを取るのは難しいですが)打者のコンタクト率(細かく見るなら、球種・左右投手別のコンタクト率)を把握できると、ヒットエンドランを「出しやすい選手」と「出しにくい選手」を把握することができます。
ヒットエンドランはライト側に打つことを求められることが多いため、各選手の打球方向の傾向を把握できると尚良いです。

”サインを出される側”の確認事項

自分にどれだけの ”引き出し” があるか?知る

サインを出す側は基本的に選手の特徴・技量に応じて出すので、自分にはどのようなサインが出るか?自分が持っている”引き出し”を把握しておくと、それに対しての準備も早めにすることができます。
    (例 自分は足が速い → 盗塁のサインが出る可能性が高い)

サインを出しやすい選手は、試合での起用確率が高い

試合のときに様々なサインを出せる選手が多いとチームとしての作戦の幅が広がるので、「サインを出せる選手」は試合に起用される(ベンチ入りメンバーに入る)確率が通常の選手よりも高くなります。
サインを出されても、それに応えられるだけの引き出しを持っておくことが試合で起用される確率が上がるポイントになるので、引き出しを増やす練習を行ないます。

≪サインを出せる・試合で起用しやすい選手≫
● 足が速く、盗塁ができる。
● ミートが上手く、ヒットエンドランでの打球方向の打ち分けができる。
● バントをミスなくできる、さまざまな方向にできる。

※ 一芸で試合に出る方法もある

すべての技術を持っていなくても、何か一つ誰にも負けない技術を持っていれば試合に出られる可能性はあります。
「足が誰よりも速い」
「バントが上手い」
「ミートが上手い」
等長所を磨き、ここ一番の場面で技術を発揮できるように準備をしておくことで、試合で起用される確率(ベンチ入りに入る確率)を一芸で高めることができます。


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工藤康博
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