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★【守備】三塁手(サード)

(このnoteでは、”強い高校野球チームを作る”方法を仮想の高校を見立て様々な角度から具体的にシミュレーションしております。野球に関わる全ての方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。)
「工藤note高校 野球部」甲子園・日本一までのチーム育成プロセス を考える|工藤

三塁手の基本的な守備位置は、下図になります。

通常の守備位置は3塁ベースより後ろになりますが、打者によりセーフティーバントの可能性がある場合は、事前に3塁ベースより前に出てバントに備えます。


ゴロの処理

打者からは距離が近く、1塁までは距離が遠い

三塁手は内野の中で1塁までの距離が一番遠いため、正確に送球できる肩が求められます。また、打者からの距離は近く右打者の引っ張った鋭い打球等スピードがある打球が飛んでくることも多く、瞬時に反応し打球を処理する(捕球する・体で止める)必要があります。

一塁手・三塁手は(打者から)近め、二塁手・遊撃手は(打者から)遠め
三塁手は、1塁までの距離が遠い

特に3塁線の打球は三塁手を抜けると長打(2塁打以上)となる可能性が高いので(一塁手の1塁線と同様)、三塁手は他の内野手よりも特に速い打球に素早く反応できることが必要になります。
ただし、三塁手は二塁手・遊撃手より関わるプレーの種類が少なく守備範囲が広くないため、準備や想定しておくことは多くありません。複雑な動きを考えず打球処理(三塁ゴロ)に集中できることが多いです。

体の動きに沿って、送球できる

三塁手は1塁までの距離が遠いため肩が強ければメリットは大きいですが、打球により肩の強さは必要ないケースも多いです。
 定位置・三遊間寄りの打球 
       ⇒ 捕球後進行方向のまま送球でき、送球しやすい。

打球を捕りに行く方向と送球する方向が近いので、運動エネルギーを生かしやすい

 この場合、打球を追いかけた動きをそのまま利用して送球できるため、肩が強くなくてもスムーズに送球することができます。

三塁線の打球 ⇒ 捕球後進行方向と逆方向へ送球のため、難しい。

打球を捕りに行く方向と送球する方向が逆に近いので、運動エネルギーを生かしにくい

三塁線方向の打球時の送球は、無理な体勢から強い送球を投げることができるボディバランス・地肩の強さが求められます。捕球の段階から、送球を意識した体勢で捕球することができると尚良いです。

三塁手は打者との距離が近いため打球を捕球するまでの時間が短い分、1塁に送球する際に遊撃手に比べ時間的な余裕があります。捕ってからステップを踏んで体制を作り送球しても間にあうケースが多いので肩が強くなくても十分送球ができます。打球を捕球したら慌てないことが重要です。

バントの処理

三塁手にとって”バントの処理”は、”打球の処理”が主になります。
バント処理は、ミスをするとピンチが広がり大きな失点につながる可能性が高くなります。確実に処理すればアウトを増やし以降の失点を最小限に抑えることができるので、プレーの前に”このシーンでは何をすべきか?”明確に把握しもれなく対応できるよう練習しておくことが必要です。

走者1塁のとき

この場合高校野球では作戦がバントになるケースが多いですが、
   実際にバントをしてくるか?ヒッティングをしてくるか?
見極め
し、判断する必要があります。
事前に、相手走者の走力・自分の肩の強さを確認しどのくらいのバントの強さなら2塁でフォースアウトが捕れそうか?イメージしておきます。

≪相手打者が最初からバントの構えをしている≫
 投手が投球する前に、ある程度守備位置から前進しておきます。
 投手の投球モーションに合わせ本塁のほうへ走っていきバント処理に対応します。タイミングとしては、バントを捕ったら2塁でフォースアウトが捕れるくらいのタイミングです。
本塁の方向へ走っていく際は、次の送球(1塁送球・2塁送球いずれも)がスムーズにできるようにファール側から回り込むように走るのがポイントです。

回り込みながら捕球し、送球をしやすくする

バントを捕球したらすぐに送球に移りますが、まず2塁のほうを見てフォースアウトが取れるタイミングか確認します。事前に確認していた相手走者の走力・自分の肩の強さにバントの強さを踏まえ、2塁に送球するか?1塁に送球するか?判断します。

≪相手打者が最初からバントの構えからヒッティング≫
投手の投球モーションに合わせ本塁のほうへ走っているときにヒッティングに切り替えるため、前進を止めた後で通常の守備位置に戻る時間はありません。この場合は、その場で止まり打球に備えるようにします。
打球が飛んできた場合はかなりの至近距離なので危険ですが、もしゴロを捕球できた場合はすぐに2塁へ送球します(ダブルプレーを狙う)。仮にエンドラン(1塁走者が投球と同時に走り出している)のケースであっても、2塁でアウトに取れる可能性は高いタイミングなので2塁送球をします。
ライナーで捕球できた場合はすぐに1塁へ送球します(ダブルプレーを狙う)。

≪相手打者が最初はヒッティングの構えをし、途中からバントに構える≫
最初からバントの構えをしているときのように事前に前進守備をとることは難しいですが、相手打者がバントの構えをしたら全力で前進しバントに備えます。

走者2塁のとき

まず事前に、3塁で走者をアウトにしようとするときはフォースプレーか?(1・2塁)タッチプレーか?(2塁)確認しておきます(プレーが起こってから考えることがないように準備)。

≪バント処理か?3塁ベースカバーか?≫
相手打者がバントをした場合、三塁手は
    自分でバントを捕る → バントを処理
    自分以外の野手がバントを捕る → 3塁ベースカバー
 
という2つの動きに準備し、瞬時に対応するようになります。

一般的に、走者が2塁にいるときのバントのセオリーは「3塁側(3塁線)にバントし、三塁手に打球を捕らせる(3塁ベースカバーに入らせない・2塁走者を確実に3塁に進める)」ことになります。
当然相手打者もそこを狙ってバントをすることが多いですが、うまくいかずに投手前・1塁側 等にバントがころがることも想定されます。
バントがフェアグラウンドに転がったら、誰が捕るべき打球か?を瞬時に判断します。
  自分が捕る場合 → バントを処理
  自分以外(投手・一塁手・捕手)が捕る場合 → 
             3塁ベースカバー(戻ってベースに入る)
 
となる、瞬時の判断が必要な難しいプレーです。

実際にバントをしてきたら…

3塁側のバントは三塁手が球を取りに行かなければ打者走者もセーフになるため、必ず打球を捕りに行きます。

3塁ベースカバーは、投手に任せる

逆にそれ以外の方向(1塁側・投手前 等)の場合、三塁手以外の野手が捕ったほうがより早く対応できるときは、三塁手が深追いして打球を追うのではなくすぐに3塁ベースに戻り送球を受ける体勢を作ります。

判断後は、素早く戻り3塁ベースカバー

このように瞬時に判断し動くとなるので、
 ● 事前に確認できることは必ずしておく
         (例 フォースプレーか?タッチプレーか?)
 ● 練習で実践想定のバント対応守備を積んで、判断力を高める
  (どのくらいまで三塁手が捕球するか?アウトになるタイミングは?)
準備を普段の練習・練習試合の中で訓練しておきます。

セーフティバントのとき

セーフティバントの可能性がある打者・状況のときは、事前に多少前に守備位置を取って備えます。
相手打者がセーフティバントの構えを見せたら、必ず一歩前に踏み出し「こちらはセーフティバントを警戒しているよ…」という姿勢を見せます。当然、実際にセーフティバントをし3塁側に転がったらダッシュしてバント処理を行ないます。

ポジショニング・状況判断

”3塁線側は絶対に抜かれない”ポジショニング

三塁手から見て左側(三遊間)は、遊撃手もケアしており範囲で打球が抜けるとレフト前ヒット(単打)になるコースですが、右側(3塁線側)は、三塁手のほかにケアしている野手はおらず打球が抜けると長打(2塁打・3塁打)になるコースです。

3塁線は、三塁手が抜かれると長打(~三塁打)になる可能性が高い

ポジショニングは、特に右側の3塁線側を警戒した場所で構えます。打球が飛んできたら、何が何でも後ろに逸らさないよう回り込み体を入れて打球を止めるようにします。
またツーアウト走者なし・ツーアウト1塁等”長打警戒”に専念できる状況であれば、特に三塁線よりに深く守るようにします。ツーアウトからの失点はチームに与えるダメージが大きいので、最も警戒すべき点です。

長打警戒時は、通常よりも”深め”・”三塁線寄り”

ツーアウトなしの場合、
   三遊間を抜かれて単打 ⇒ ツーアウト1塁
        次に盗塁・長打を打たない限り得点の可能性は低い
   3塁線を抜かれて長打 ⇒ ツーアウト2塁もしくは3塁
        次に単打でもヒットが出れば得点の可能性がある
となります。

一般的に、”単打”は得点までに3本のヒットが必要ですが”長打”は2本のヒットで得点できる可能性があります。
打者の打率は良い打者と言われる目安が”3割(30%)”なので、
    2本のヒットが続く確率   30%×30%=9%
    3本のヒットが続く確率   30%×30%×30%=2.7%
となり3本のヒットが続く確率は非常に低い確率のため、ツーアウト走者なしの場合最も警戒すべき事項は”長打”となります。その準備として、定位置よりも深めに守り3塁線寄りにするようにします。

走者1・2塁のときのダブルプレー

ツーアウトでなければ、走者1・2塁のときにゴロが飛んで来たらダブルプレーを狙います。この場合、三塁手は”5-4-3”のダブルプレーと”5-5-3(ゴロ捕球後、3塁ベースを踏みその後で1塁へ送球)”の2通りパターンがあるため瞬時に判断する必要があります。

送球が1回で済む分”5-5-3”のほうがよりミスの確率を減らすことができます(5-4-3は送球が2回ある)。事前に3塁ベースよりにポジショニングし、ゴロが飛んだ時にスムーズに3塁ベースを踏みダブルプレーの対応ができるように準備します。
その上で、打球がポジショニングした場所より左寄り(三遊間)に来た場合は捕球後体の流れに沿って2塁へ送球し”5-4-3”のダブルプレーを狙います。
この判断を瞬時に行なうようになります。

走者1・2・3塁(満塁)のときのダブルプレー

ツーアウトでなければ、走者満塁のときにゴロが飛んで来たらダブルプレーを狙います。この場合、三塁手は”5-2-3”のダブルプレーと”5-5-2(ゴロ捕球後、3塁ベースを踏みその後本塁へ送球)”のダブルプレーと”5-5-3(ゴロ捕球後、3塁ベースを踏みその後で1塁へ送球)”の3通りパターンがあるため瞬時に判断する必要があります。

1・2塁のときと同様、送球が1回で済むダブルプレーのほうがよりミスの確率を減らすことができるので、事前に3塁ベースよりにポジショニングし、ゴロが飛んだ時にスムーズに3塁ベースを踏みダブルプレーの対応ができるように準備します。ただし”5-5-2”のダブルプレーの場合本塁はフォースプレーでなくタッチプレーになるので、送球後捕手に「タッチ!」とタッチが必要な旨声を出します。

ツーアウトのときは、近いところで3アウト目を

ツーアウト・走者がいる状況でゴロが飛んできた場合は、捕球後3アウト目を取ればチェンジになるため必ずしも1塁に送球しなくてはいけないわけではありません。より確実に3アウト目をとるために、違う選択肢を取ることもOKです。

≪ツーアウト 走者1塁≫
三塁ゴロが来た場合、1塁へ送球すれば3アウト目を取る(チェンジ)をとることができますが捕球時の体勢で1塁へ強い送球を投げることが難しい場合もあります。この場合は、1塁よりも距離が近い2塁でフォースアウトを取ることもできます。

より確実にアウトが捕れるほうで良い

ただし、2塁へ送球する際に「2塁ベースにカバーが入るか?入っているか?」二塁手・遊撃手の動きを確認しておきます。いないところへ送球してしなうと、アウトが捕れないだけでなくピンチが拡大してしまいます。外野手のカバーが遅ければ、走者がそのまま本塁まで還り1点を失う可能性もあります。
2塁へ送球したほうが良い打球は三遊間に飛んだケースが多いので、
  遊撃手 → 打球を追いかけている(2塁ベースと逆の動き)
  二塁手 → (ツーアウトなので、当然1塁へ送球すると思い)
        1塁ベースカバーに入っている(2塁ベースと逆の動き)
となり、2塁ベースカバーがいない状態になってしまう可能性も考えられます。
このような状況になったときに、プレー前に2塁へ送球する可能性がある旨二塁手(遊撃手)伝えておくといざというときにスムーズに送球することができます。

三塁手の適性

● 肩が強い
● 反射神経が良い


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