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★【守備 ここからスタート】チームの守備力で試合を支配する

(このnoteでは、”強い高校野球チームを作る”方法を仮想の高校を見立て様々な角度から具体的にシミュレーションしております。野球に関わる全ての方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。)
「工藤note高校 野球部」甲子園・日本一までのチーム育成プロセス を考える|工藤


◉ 守備は”基本”を踏まえた上での”状況判断による応用”

守備は”アウトを取るため”に行なうものなので、その結論だけ見ればどんな形でもアウトになれば良い…となってしまいますが、より精度を高い・確率の高い守備をするためには”基本”・”型”が非常に重要になります。”基本”・”型”とは捕球確率が高くその上で送球までのステップがスムーズになりやすい体勢ということになります。

例えばゴロを捕る基本として
        腰を落とす・正面で捕る・下から捕る
ということがよく聞かれますが、これらは”来た打球をより確実にアウトにするため”に行なう基本になります。1試合の中で考えると、このような基本を実行したほうが良いケースが大半になります。

ただし、例えば足の速い打者がボテボテのゴロを打ちアウトに取れるか?微妙なタイミングになったときには上記基本のプレーでは間に合わなくなってしまうので、
    片手で捕る・逆シングルで捕る・ランニングスローをする
等、エラーの確率が上がってもよりスピーディなプレーを選択することになります。

このように、守備は基本を習得していれば1試合の大半を対応できる守備が出来ますが、応用となるような動きが必要になるケースもあります。

守備の向上は、まずは基本となるオーソドックスなプレーの質を高めアウトにできる範囲を広げていくことを最優先に考えて練習します。その上で、状況判断で必要となる守備範囲を広げたい場合の応用プレー(例 ランニングスロー)を身につけていきます。
この順番は間違えることなく、守備力アップを図ることが重要です。

”安定した守備”は、攻撃にリズムを与える・接戦に強くなる

安定した守備は、特に試合では 攻撃にリズムを与える・接戦を勝ち切る ための重要な要素になります。

エラーにより取れるアウトを逃してしまうことは、試合の流れを大きく変えるきっかけとなってしまいます。特に送球エラー(スローニング)はチームに与えるダメージが大きいので、どのポジションでも低くて速い送球を投げること(強さと正確性)を徹底することを全部員に浸透させることが勝てる守備・勝てるチーム作りのポイントになります。

守備に好不調はない・練習すればするほど上手になる

野球では、打撃の場合そのときの好不調があったりしますが守備にはほとんど好不調がありません。また、守備は基礎練習をやればやるほどうまくなり動きが良くなっていきます。
努力が必ず結果になるものが守備なので、日々の積み重ねが非常に重要になってきます。

◉ ”守備が上手な選手”には共通点がある

”守備が上手”と言われる選手には、以下のような共通点があります。

≪守備が上手な選手①≫守備範囲が広くなるよう準備する・動く

守備範囲が広い選手は、より多くの打球に追いつきアウトにする可能性が高くなるため補殺数が多くなります。
(補殺=アウトを取る過程で、そのアシストとなる働きをすること。
    (例) 二ゴロを捌いて一塁に送球しアウト
         → 二塁手に補殺が記録(一塁手には刺殺が記録))
他の人が追いつけない打球に追いつくためギリギリの捕球・送球のシーンも多く捕球ミス・送球エラーの可能性も高くなりますが、ギリギリの打球をアウトにする練習が多くなり、守備が上手くなる確率が高くなります。

◎ 守備位置(ポジショニング)

打者の打球方向、投手の球種・コースにより最適な守備位置につきます。例え変えた守備位置が1mであってもその1mが打球処理の難易度を大きく変える基になります。

◎ 耳からも情報を取る

適切な守備位置を決定する情報・打球に対する情報 は基本的に目から取った情報になりますが、上手な選手は目だけでなく耳から情報を取っています。
 ≪耳から入る情報≫
   打ったときのバットの音 ボールを捕球したときのグラブの音 
   味方選手・監督の声 相手選手・監督の声 審判の声     等
(例1) 打ったときのバットの音
”芯に当たったとき”と”芯を外したとき”では音が変わります。目からの情報にこの耳からの情報を加えることで打球速度・飛距離の判断精度を上げることができます。
(例2) 相手選手・監督の声
相手ベンチ選手は自分の監督のサインを見てから打席にいる味方に声をかけます。その声のかけ方で相手の作戦は何か?予測し、準備の精度を上げることができます。

◎ 1歩目のスタート

守備での1歩目の速さは、その違いが
1〜2mの守備範囲に相当の違いとなるくらい重要な要素になります。
1歩目が早くなるポイントは
● 打者の事前観察・予測
● 打者がスイングを始める瞬間のステップ
● バットにボールに当たる瞬間のステップ
になります。

≪打者の事前観察・予測≫
打者のフォームにはそれぞれ個性があるので、そのフォームを観察し打球が
どちらに飛びやすいのか?を予測をします。
打球が飛びそうな方向に意識があるだけで、1歩目のスタートはまったく変わってきます。
≪打者がスイングを始める瞬間のステップ≫
例えば、”投手がインコースに投げた””打者が早いタイミングで振り始めた”という場合は、打球は引っ張った
方向に飛ぶ確率が高くなります。逆に振り遅れれば、打球は逆方向に
飛ぶ確率が高くなります。
この判断を投手が投げてからスイングする瞬間に行ない1歩目のステップを
します。ノックのとき、ノッカーが振り出す瞬間
打つ方向を予測し1歩目を
踏み出すような感じです。
ただし、投手が投げる前に
動き出す(例 捕手がインコースに
構えたので、早めにポジショニングを変える)と打者にコースの情報を教えてしまう可能性もあるので、1歩目を踏み出すのは「投手が投げた後、打者がスイングを開始してから」になります。
≪バットにボールに当たる瞬間のステップ≫
ボールが当たる瞬間にステップできるよう体を動かしやすくするためには、軽くその場でジャンプしインパクトの瞬間のタイミングを合わせることがポイントです。(特に打者との距離が近い内野手)

◎ 打球までの走り方

打球へは「最短距離(時間で)捕球ポイントに到達できるか?」がポイントになります。足が速い選手でなくても「走り方」と「走路」を意識して打球まで走ることで、より早く捕球ポイントに到達できます。
≪走り方≫
目線がブレないよう低い姿勢をキープして走ります。
グラブを出したまま走るとスピードが落ちスムーズに動くことができないので、グラブ(手)は腰の高さで小さく振り走ります。
≪走路≫
基本は”捕球ポイントに対し一直線”になります。打球の軌道・捕球ポイントを打った瞬間に予測し、そこに向かって最適な走路を取って走ります。
ただし、打球により一直線でないほうが捕球しやすいケース(例 フライ等、打球を見やすくするため曲線で捕球ポイントに入る)もあります。どういう走路を取ると良いのか?は、普段の練習(ノック)の中でその感覚を掴んでいけるように(選手に)指示をします。

◎ 送球(スローイング)の仕方

送球は「投げたいところに正確により早く投げる」ことが目的になりますが、試合では守備のケースにより自分の理想のフォームで投げることができないことも多いため、さまざまなパターンで送球が出来るよう練習でいろいろ試しておくことが必要になります。
また、送球を受ける選手が次に行なうプレーを考えて(例 タッチプレー)より良いところにピンポイントで狙って投げることで、アウトを取る確率を高めることができます。

≪守備が上手な選手②≫動きが細かく俊敏

守備は前後左右に動いて行なうので、上手な選手は細かな動きを俊敏に行ないます。

◎ ステップの歩数が多い

守備が上手い選手はとにかくステップが小刻みで細かく、ボールに入るまでの歩数がとても多いです。
ステップを細かくするメリットは
● バウンドが合わせやすい
● 不規則な回転・バウンドのボールにも対応できる
● ボールの衝撃を吸収し、柔らかく捕球できる

となり、内野手はもちろん外野手にもおさえておきたいポイントになります。

◎ 動きにメリハリ(強弱)がある

守備は 打球へ入る→捕球→送球 といった流れで進むため、この動作がバラバラにならず一連の動作としてつながるよう動きに強弱があると、アウトにする確率が上がります。

例えば、
   打球に入るまでが遅い ⇒ 
   捕球後、多めにステップを踏んでしまう ⇒ 
   送球(だけ)が強い ⇒ 
という流れの悪い動きではアウトにする確率が減りミスも多くなります。
   打球に入るまでが早い ⇒ 
   捕球前にスピードを緩める ⇒ 
   丁寧に捕球し、打球に入ったスピードに乗って送球 ⇒ 
というように 強 とメリハリがあるスムーズな流れで守備を行なうと、アウトにする確率が高くなります。

≪守備が上手な選手➂≫”難しい打球処理”を”かんたんな打球処理”にみせる

難しい打球をかんたんな打球に見せる選手は、どのようなバウンドの打球であってもスムーズに対応していきます。

◎ 目線が動かない

守備では打球に応じ前後左右にさまざまな動きが発生しますが、その際に目線を極力動かさず細かな動きの場合は眼球だけで追いかける(首でなく目で追う)ようにしています。
走るときは目線がブレてしまいがちですが、ブレると打球の正確な位置が把握しにくくなります。こうならないよう、目線のブレを少なくしながらスピードは落とさず走る動きを自然に行なっています。

◎ バウンドを合わせるのが上手い

”バウンドを合わせる”とは「一番捕球がしやすいバウンドへ自分が動くこと」になります。
一般的に捕球しやすいバウンドは
● 一番高くバウンドしたところから落ちてくるとき
● ショートバウンドのとき
になります。

そこにバウンドを合わせるタイミングを練習(ノック)で繰り返し行なうことにより技術を習得します。

バウンドを合わせる際、必要以上にステップを踏んでミスすることがないよう注意が必要です。
(送球に自信がある場合)
とにかくボールに早く向かい、多少バウンドが合わなくてもグラブさばきでボールをつかみ、送球しづらそうな体勢でもノーステップ・ジャンピングスローやランニングスローで送球します。打球をより前で捕球することを優先します。
(送球に自信がない場合)
打球に対していねいに入り、良い捕球体勢を作ることを優先します。特に絶対にミスができないシーンでは必ず捕球体制を優先します。

◎ ”正しい型”が崩れない

上手な選手はどんな打球であっても同じような体勢・ステップで流れるように捕球・送球を行なうことができ、かつその範囲が広いことでより多くアウトを取ることができます。
こうした基本の”型”ができないと、打球ごとに初めて行なうような型で捕球・送球を行なうためアウトにする確率を高めることはできません。

◎ (見なくても感覚的に)状況把握ができている

守備は相手走者との兼ね合いになってくるので、打球処理の間に相手走者はどのあたりを走り、この打球処理は急ぐべきか?慌てなくて良いか?判断する必要があります。
(例) 内野手の場合
   走者なしの状況で正面に速い打球 → 
             捕球できれば慌てて送球する必要はない
   走者なしの状況で自分の横に遅い打球 → 
             捕球できたら素早く送球する必要がある
このような感じで、ここに走者の有無(状況別)・走者の走力・走者がつまづいた等のイレギュラーな要因… も判断に影響していきます。

このような判断は常に走者を見て行なうことはできないため、見なくても感覚的に走者が今どの辺を走っていているか?予測し”急いで対応”か”慌てず対応”か判断することが重要です。守備が上手な選手はこの感覚が優れています。

◉ 個人技アップのポイント

個々の守備力を効率的に上げるために、以下にようなポイント抑えて日々練習すると早く上達できます。

◎ 上手な選手のモノマネをする

NPB・MLBの選手の動きでも良いし身近にいるチームで守備が上手い選手でも良いので、動き方をモノマネし自分の身体で表現するように練習すると、より上達スピードが早くなります。具体的には、
   ボールの追い方・グラブを出すタイミング・ステップの仕方
など、守備の際にポイントになる動きです。

◎ (普段から)さまざまな打球対応をイメージしておく

打球はまったく同じものが来るということはほとんどないため、打球対応は画一的でなくその場で最適な方法を素早くイメージし動けることが重要になります。
ただし、対応方法を打球が飛んできてから考えていては間に合いません。普段から”このような打球の場合は、こう対応する…”というイメージをさまざまケースで考えておきノックの中で実際に動いてみることで最適な方法を模索していくことが上達スピードを早めることになります。これを繰り返すことで、試合ではとっさのプレーであっても無意識に動けるようになります。

これはノックを受けているときでなくそれ以外の時間、練習時間外や家にいるときでもできることなので、日常の意識が重要なポイントです。イメージする機会を増やせば増やすほど守備のときのアイディア(引き出し)はたくさん増えていきます。

◉ 組織的な守備力向上

守備は個人の技術向上も重要ですが、複数の選手が連携することでアウトを取る「組織的な守備」も重要になります。

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ポジションにより守備に必要な要素が変わってくるので、事前に頭で理解しておくことが重要です。

◉ ポジション別


◉ その他

試合では、エラーしたときも後に引きずらず切り替えることが重要です。

試合でいざ守備位置についたら、頼れるものは自分のグラブのみになります。手を使うのと同じくらいグラブを自由に使えるように普段から管理しておきます。


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工藤康博
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