⚾️太陽のように熱く輝け-小さな積み重ねが実を結ぶ-
ある日、日本体育大学のグラウンドに訪れたときの話。いつものように、席に座って試合を観戦していた。
日体大の選手はとても礼儀正しく、訪問してきた人々への挨拶は欠かさない。ごく当たり前のことを、意識せずできることに背筋が伸びる思いだ。
その中でも、印象的な挨拶があった。今まで数多くの人と挨拶を交わしてきたが、あまりの誠実さに驚いた。
広尾高校出身の嶺太陽投手だ。東京都屈指の進学校からやってきた一般生である。最後には深々とした一礼があった。文字に起こせば何の変哲もない挨拶と感じるかもしれないが、人のことをきちんと観察していることがよくわかる。この日、今季初のグラウンド訪問だったからだ。視野の広さと対応力のレベルの高さを感じた。常日頃さわやかな挨拶をしてくれていたが、ここまでかと素直に驚いた。
もう二つ、嶺投手の素晴らしさを感じる出来事があった。それは、群れることなく黙々と練習に打ち込む姿。試合(オープン戦)中も一人で立ちっぱなしで観戦をしていること。本人曰く、立っている(見ている)場所の方が見やすいとの話であったが、普通なら疲れてそうはしないだろう。
別に大人数で行動することを悪としているわけではない。自分で考え行動できる姿勢に、尊敬の念を抱いた。別の日も同じように、一人で静かに練習を行っていた。私語は最低限に留め、周囲に流されることは一切ない。軸をぶらすことなく、目の前のやるべきことに取り組める。模範的な存在であると感じた。
私はまだ、嶺投手のリーグ戦登板を目にしていない。大所帯の日体大というチームでレギュラーを獲得するのは、とても大変なことなのは言わずもがな。そんな厳しい状況でも熱を冷ますことなく、努力を続けている。芯が通っていなければできないことだ。今年で最後のシーズンを迎える嶺投手が、名前の如く『太陽』のように熱く輝けることを願っている。
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ここ最近、私は『どんなふうに野球を見たいのだろう』と考えることがありました。野球を通して何を学び、何を感じているのだろうと疑問をもち始めました。
先日の嶺投手の挨拶で、はっと気が付いたのです。彼のような選手を見つけ、応援したいのだという本来の気持ちを取り戻しました。毎日が一瞬のように過ぎ、考える余裕も時間もなかったのだと思います。ひょんなことで問題は解決するものですね。
挨拶する人間が偉いとか、挨拶しない人間がダメだとか、そんなことを説いているわけではありません。挨拶は印象に残りやすく、何らかのきっかけに繋がるということです。今回の嶺投手のケースも同様です。
礼儀正しさや人格が、野球の技術に直結するとは毛頭思っていません。しかし、必ず実を結ぶと私は信じています。やはり最後は人間性。小手先のテクニックではごまかせないのです。
今回の挨拶や姿勢を踏まえて、真摯に物事に向き合おうと改めて考えるきっかけになりました。嶺投手の活躍を心より願っています。みんなが輝くシーズンになりますように。
いただいたサポートは野球の遠征費、カメラの維持費などに活用をさせていただきます。何を残せるか、私に何ができるかまだまだ模索中ですが、よろしくお願いします。