妖魔開闢 -蜘蛛と殺し屋/竜の魔眼-
「先輩、なんか超でっかいダイヤがあるんですけど、さすがに偽物ですよね」
整理整頓が行き届いた書斎。
壁際のキャビネットに顔を突っ込みながら、ユズが呑気な声を上げた。
高校の制服のスカートが揺れる。
「換金目的じゃない。物取りの犯行に見せるためにやってるんだ。手当たり次第、鞄に詰め込めばいいんだよ」
俺は、マホガニーの机の抽斗を抜き、中身をぶちまけながら答える。
「捨てるんでしたっけ。勿体なくないですか?」
「盗品は高価なほど足が付く。教わらなかったか?」
「何も。