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デンマークの教育の急激なデジタル化に待ったの声が上がる


 デンマークの新聞紙Berlingske紙で2020年3月1日に取り上げられた記事がデンマークの子ども教育省のHPでアーカイブ化され、保存されていたので紹介させてください。
Vi har drevet den digitale udvikling frem i bedste mening. Men det er tid til at stoppe op | Børne– og Undervisningsministeriet (uvm.dk)

Vi har drevet den digitale udvikling frem i bedste mening. Men det er tid til at stoppe op (berlingske.dk)


デンマークのティーンエージャーは、平均、1日6時間もの時間をデジタル機器の画面の前で過ごしている

 記事によると、デンマークのティーンエージャーは、平均、1日6時間もの時間をデジタル機器の画面の前で過ごしているそうです。3~6歳の子どもも2時間近くデジタル機器の画面を見ているとのことで、デンマークはヨーロッパで、また世界で最も子どもが多くの時間をデジタル機器の画面の前で過ごしている国であると書かれています。

教育機関のIT化、デジタル化に政府が莫大な予算を投じてきた

 子どものインターネットやiPad、電子黒板、ロボット、eラーニングの学習管理システムなどの利用環境を整えるため、デンマーク政府は保育所や学校、学童などのIT化、デジタル化のために、2012年~この記事が発表された2020年3月1日までだけを見ても、少なくとも25億クローネ以上もの予算を投じてきました。(1DKK=現在およそ21円)
 それはデンマークの企業が将来、国際競争に打ち勝てるよう願ってのことでした。

IT、電子機器の適切な利用、過度な利用の定義があいまい

Forside - Rådet for Børns Læring (xn--brns-lring-i6a4s.dk)

 デンマークの子ども教育省に助言を行う省外部の独立した機関である子どもの学習評議会(Rådet for Børns Læring)は、子どもの電子機器利用と幸福についての調査を行い、結果を精査したところ、ITや電子機器の過度な利用は子どもの幸福にネガティブな影響を、適切な利用はポジティブな影響が及ぼすことに気づきました。

 ところが過度な利用と、適切な利用の具体的な線引きがどこなのか、研究上のコンセンサスがとれていないという問題点が見えてきました。

ITの利用により学習効果が高まっているのかも不明


 またITの利用により、子どもの学習効果が高められているのかも分かりませんでした。

高校生、大学生の半数近くがPCや携帯を学習とは関係のない用途に頻繁に、または常に使っている

 調査によりはっきり分かったこともありました。
 SNSを利用すればするほど、恐怖心や鬱に苦しめられる子どもが増えるということです。
 また高校や、大学などの高等教育機関に通う生徒のおよそ半数が、学習とは関係のない用途に、コンピュータや携帯電話を頻繁に、または常に使っていることが分かりました。

学校教育にITを取り入れたことで、勉強に身が入らなくなった生徒が増えたと半数以上の教師が回答


 教師の半数以上が、学校教育にITを取り入れたことで、生徒たちが勉強に身が入らなくなったと答えました。

 子どもの学習評議会(Rådet for Børns Læring)はITの導入による学習効果の向上について十分なエビデンスを欠く中で、莫大な予算を投じてきたことに疑問符を投げかけ、盲目的なIT化にブレーキを踏み、IT化、電子機器利用による子どもの発達や幸福、心、脳への影響について研究を進めていく必要性を表明しています。

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