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め〜ちゃくちゃ頭のおおきい人だとおもったんだわ 【祖父母の出会い】
「め〜ちゃくちゃ頭のでかい人だとおもったんだわ」
祖母は、祖父と初めて出会ったときのことをこう切りだした。
えっ……いきなりそれはどういう……こと?
それってあんまり印象よくないよね。
ことば通りに受け取ってもいいんかな?ばあちゃん。
事実を確かめるために、祖父に聞いてみると、じいちゃんは若い頃はリーゼントでばっちり決めていたという。なんだ、洒落ているじゃないか。(ちなみに今、祖父86歳、祖母83歳)
昔は半長靴(ブーツ)を履いて、祖母をバイクの後ろに乗せてよくドライブに行ったらしい。
当時はノーヘルが当たり前で、祖母はスカートを履き、横乗りで乗っていた。女性がまたいで乗ることがはしたないと思われるような時代だったそうだ。
危ないなと思う反面、のどかな時代だったんだなと思う。
祖母は、好奇心・探究心が強いほうだから、そんな刺激に興味を持ったのかもしれない。
二人はそんな感じで結婚したらしい。
そして祖父と結婚するとまず、八百屋を始めた。
それが軌道に乗り、子どもが大きくなると今度は魚屋をすることになって、そのうち祖父がスーパーマーケットを始めた。そこで祖母は惣菜を作り始めたそうだ。
僕は、その頃の話を聞くのがとても好きだ。
祖父母の昔話はいつだって面白いし、それを話す祖父母が嬉しそうだから。
その後、色々あって、祖母は本屋に務めるようになった。
40歳を過ぎての転職は不安も大きかっただろうと思う。
しかし、持ち前の真面目さと探究心、創意工夫で
すぐに営業成績は1番になったらしい。
慣れない仕事も、年下の先輩に色々教わりながら丁寧にこなしたという。
教科書や雑誌の販売、どうやったらもっと売れるかを工夫して、書店業界が下火になる中、顧客を増やしていったそうだ。
この頃は、僕も色々本を買ってもらった。
ジャンプもコロコロコミックも祖母が買ってきてくれた。それが楽しみで嬉しかった。今でも本を買うときにワクワクするのは祖母の影響があるのかもしれない。
そして、祖母は定年まで真面目に働き続けた。
祖母は80を過ぎても、いろんなことに夢中になっている。
今は祖父と二人そろって仏教にハマっている。
やはり、祖母は好奇心・探究心が強いと思う。
そして、落ち着きがない。座らない。働きつづける。動きつづける。
「ネズミ年だからね」とよく話していたが、ほんまにそんなことあるんかと小さい時から思っていた。
よく、祖父の方がふざけていて面白い人だと思われがちだが、実は僕は祖母が断然面白い人なんじゃないかと思っている。
もしかすると、祖父のその「でかい頭の中」を覗いてみたいという好奇心から祖母が祖父を選んだとしたら、面白いのになと妄想している。
僕もあの歳になっても、いつもワクワクしながら生活できたら素敵だなと。
そして、僕のワクワク好きは、ばあちゃん譲りで、頭の大きさはじいちゃん譲りという話でした。
皆さんのワクワクが満たされますように。
それでは、また明日。