[人生にはBarが必要だ] 第14回 熊本 BAR STATES
ここ最近は九州出張が多い。その中でも熊本が最も多く、早朝6:30羽田空港発に搭乗する。8:30には阿蘇熊本空港に到着し、丸1日仕事をした後は、熊本の繁華街である「下通」に面する花畑町のリーズナブルで美味しい寿司店「寿司処 稲穂」で、いつもご当地名物のコノシロの握りをつまんだ後、お決まりの熊本Bar巡りへと突入というパターンが多い。
さて、どこのBarから攻めようかなと思案しながらも、足の方は無意識に1軒のBarへと向かっていた。1984年3月にオープンし、今年3月には開店40年を迎える火の国熊本を代表するバー、「BAR STATES」。
静かにバードアを開けると、オーナーバーテンダーのご夫妻と若手バーテンダーの3名が遠方客の私にもかかわらず、いつものように温かく迎えてくれる。
ステイツのオーナーバーテンダー宮本夫妻は日本のトップバーテンダーとして、長年熊本のBar業界を二人三脚でけん引なさってきたバーテンダーであり、宮本マスターは私よりも10歳年上で、20歳から現在のお店で独立し、もうすぐ還暦を迎えようとなさっている熊本でも屈指のベテランバーテンダーであるが、宮本マスターのご両親も山口県岩国市にてバーテンダーとしてカウンターに立ち、米軍兵の皆さんが故郷を思い出しながら杯を傾けていた姿から自店の名前を「故郷=STATES」と命名したそうであり、宮本マスターがお客様を思う姿勢が伝わってくるエピソードだ。
その一方で、奥様もこれまた県内外のバー好きが足を運ぶ女性スタッフだけのバー「BAR BLUE」の店長を務めた方であり、どことなく透明感に溢れた熊本天草美人であり、高校時代にたまたまカクテルブックと出会い、大学時代に自宅で友人にカクテルをふるまいつつ、アルバイト先の花屋さんでの会話がきっかけで、何と大学4年には店長に抜擢され学業とBar経営を両立させた方である。
日本のトップに立ち、世界も経験したお二人のもとでバーテンダー技術を研鑽する松山さんは、宮本ご夫妻のご指導により「ベネンシアドール」というシェリーを供する職業技術を習得し、細長いひしゃくのような形状が特徴的な「ベネンシア」という道具を美しく使いこなしながらグラスに供し、お客様を喜ばせている。将来がとても楽しみなバーテンダーである。
上記に記したように、ステイツのカクテルはいつも非の打ち所がない仕上がりでお客様にも満足して頂けるものと確信しているが、それよりも私はステイツのとてもくつろげる雰囲気、そして宮本ご夫妻や松山さんの温かなおもてなしが出張の疲れを癒してくれることこそがステイツの最大の魅力であると特筆したい。
人生にはBarが必要だ。
BAR STATES
〒860-0806 熊本県熊本市中央区花畑町13-23 久保田ビル4階
TEL 096-324-9778