アーカイブ・「私は貝になりたい」映画的真実
その後日、小包が届いた
開けると「私は貝になりたい」のために寄贈した
古いシェービングカップが入っていた
東宝の装飾担当のY氏が、映画がクランクアップしたので
気を利かして返送されたのだった
これに中居正広や仲間由紀江が触ったのかと大切にしている
「私は貝になりたい」の粗筋を説明すると
戦時中のある日、田舎の理髪店の主人に赤紙が届く
妻と幼い男の子を残して戦場に駆り出された彼は
上官に米軍の捕虜を銃剣で殺すように命じられるが
傷を負わせただけで終わる
戦後、故郷で妻と子供と共に慎ましく暮らしている彼に
戦犯容疑が掛けられ、逮捕される😨
女の子も生まれ、夫の釈放を信じる妻は
助命嘆願の著名に望みを掛け、雪の中を歩き回り
新しい理髪椅子を買う事を決めるが
その椅子が届いたその日に、夫は処刑される…😨
という戦争の残酷さと不条理、それに夫婦愛を描いた作品で
福澤克雄監督が、福沢諭吉の曾孫であることも話題を呼んだ😍
実は昭和初期の理髪椅子も貸し出す予定になっていたのだが
「これでは立派すぎて、若い人には椅子を買い替える必然性が
分からない、もっとボロボロの椅子で、若い二人がやっと
店を持った感じを出したい」との監督の意向で
明治時代の椅子に決定
私の椅子の出番は無くなってしまった😓
Y氏も「史実と違う」と進言したが、彼等にとって
歴史的事実とドラマ的真実は、いつも頭を悩ませる問題だという
テレビで、フランキー堺主演の時は
戦後間もない時期で時代考証は正確だったが
所ジョージ主演の時は、大正時代のライオンの彫刻がある椅子で
貧しい理髪店には違和感があった😓
今回は更に古く、明治時代の椅子になったが
古いと見捨てられていた椅子がゴージャスに見え
新しいホーローの椅子が陳腐に見えるという
私達の目が変化してしまった現在
この程度の映画的真実はやむを得ないかも知れない😓
明日に続きます😍