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宮島未奈 著「婚活マエストロ」

私が利用するいなか町の図書館は、貸し出し中になっている図書を控えめに予約するのですが、不思議なことにあっという間に貸し出し可能の連絡がきます。

夫曰く、「君が借りても返却期限よりかなり早く読み終えて返却するから本の回転数が有効なのだろう」

確かに貸し出し可能になるとすぐ借りに行くし、手元にあると読まなくてはいけなくなる性分です。今回も一気に5冊借りることになってしまって、夫がゴルフで留守なことを言い訳に読書を楽しんでいます。

昨日読み終えたのは、「成瀬シリーズ」で一躍人気作家の仲間入りをされた宮島未奈さんの新作です。

40歳の三文ライター・猪名川健人は、婚活事業を営む「ドリーム・ハピネス・プランニング」の紹介記事を書く仕事を引き受ける。安っぽいホームページ、雑居ビルの中の小さな事務所……どう考えても怪しい。手作り感あふれる地味なパーティーに現れたのは、やけに姿勢のいいスーツ姿の女性・鏡原奈緒子。場違いなほどの美女だが、彼女は「私は本気で結婚を考えている人以外は来てほしくありません」と宣言する。そして生真面目にマイクを握った――そう、彼女は婚活業界では名を知らぬ者はいない〈婚活マエストロ〉だった。その見事な進行で、参加者は完全にマエストロ・鏡原の掌の上。彼女は何者なのか、なぜこんな会社で働いているのか、〈マエストロ〉ってなに……謎は深まるばかりだが、猪名川は同社のイベントを手伝うことに。65歳以上のシニア向け婚活パーティーから、琵琶湖に向かう婚活バスツアー(クルーズ船「ミシガン」に乗車)まで。これまで結婚に興味のなかった猪名川も、次第に「真面目に婚活するのも悪くないかもしれない」と思い始める。ものは試しと他社が運営する婚活パーティーを訪れてみると、そこには参加者として席に座る鏡原の姿があった――。

Amazon内容紹介

まず今回の作品は、著者と編集者の着眼点が良かったと思います。

あれほどの人気を得た「成瀬シリーズ」の後にどんなテーマを描かれるのか多くの人が期待していたはずです。その点で、本作は十分に納得感がありました。

「成瀬シリーズ」の場合は、成瀬あかりという主人公は幼馴染の島崎みゆきによって活躍できており、本作の主役は「婚活マエストロ」と噂される鏡原奈緒子ですが、読み進めると、40歳のフリーライター・猪名川健人の存在が大きいことがわかります。どうも著者のお得意の手法のように感じます。

作品の中にも出てきますが、婚活も出会い系アプリの存在が大きくなってきているようです。結婚という、人生の大きな賭けのような人と人との出会いに本作のような専門的な人の助けを求めるのも大事かも知れません。そんな思いが私には伝わってきました。

宮島作品のカバーイラストも秀逸

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