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皆さんは「噂」にどんな思いをお持ちでしょうか?性的に女性の方が噂好きのようにも思えますが、実際は個人差でしょう。

最近では、実際に口伝えというよりネットを介して広まるものと、特に若者には理解されているのではないかと思います。

先日この作品を読みました。

書店員が経験された、本屋での小さくも温かいドラマのようなお話が収められた作品でしたが、実際に書店で紹介され、購入された本が1話ごとの末に紹介されていて、私も未読の作品があり、図書館の蔵書を調べ、この週末に読むためにしっかり借りてきました。

今日はその中から1冊読み終えたので紹介します。

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

Amazon内容紹介より

手に取ったのは、2006年発売の新潮文庫版。492ページあります。

最近特に目が悪くなってきて、文庫本の活字を読むのが辛いのですが、本書は紹介にもあるように、サスペンスもので読み出したらジェットコースターのように止まることなく、一気に読んでしまいました。
本当に面白かったです。

萩原浩さんというと「明日の記憶」が本屋大賞2位となり、映像化されたことは周知ですが、その前後の作品がテーマもジャンルも多岐にわたる作家であることも著者の作品がお好きな方は、ご存じのことでしょう。

しかし文庫版の解説を担当している茶木則雄氏が書かれているように、現在
荻原浩さんをミステリー作家の枠で括るひとはおそらく無く、ゆえにこの「噂」はミステリー史に荻原浩の名を残す作品です。

2006年というと携帯もガラケーでネットもありますが、若者の大切なツールであっても、まだお互い出会っての情報交換が主流だった時代背景で、のちに同様な情報操作事件に似た、女子中高生を狙い、口コミ利用に端を発した殺人事件を基にしたミステリーを書いているのですから、凄いです。

テーマも今に置き換えても遜色ない上に、事件を担当する2人の刑事の個性が、魅力があります。
刑事という職業ゆえに家庭が二の次となり、妻を交通事故で亡くしてから、所轄へと希望配属、15歳の娘と2人暮らしの40代の木暮主任、鑑識の夫が過労死、5歳の男の子と暮らす30代の名島警部補。
足首を切る残忍な犯人を追っているのですが、渋谷の街を楽しむ女の子たちと協力し、捜査していく過程が2人の個性がよく出ていて、特に面白かったです。

WOM(Word Of Mouth)口コミによるセールスプロモーションを企画する会社の代表杖村の過去と復讐もどきのビジネス戦略、女性への足へのフェティシズムという男性特有の犯罪には驚くばかりでした。

単行本は2001年講談社から刊行

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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