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多様性の時代、私はついていけるのか

今朝はどうしても起き上がれず、10時半を回ってからやっとベッドから出ました。これからの季節こういうことも増えるなと、ネガティブに。

夫が明日の演奏会の準備のためすでに出かけていたので、お昼の準備をして待ちました。その頃にはなんとか動けるようになりホッとしました。

さて今日紹介するのは畑野智美さんの「世界のすべて」です。

恋愛感情がない。性欲がない。それでも「普通」に暮らしている。
5年間勤めた会社を辞め、街の小さな喫茶店「ブルー」でアルバイトをする鳴海優輝。心優しい啓介が営む「ブルー」には秘密を抱えた人々が集まってくる。デザイナーの北村、高校2年生のヒナ……。常連客の悩みに向き合う鳴海にも、周りに言えない想いがあった。
多様なセクシュアリティを持つ人々をやわらかく鮮やかに照らす、畑野智美の新たな代表作。

作品の帯より

これまで著者の作品で読んだのは2作品「消えない月」「シネマコンプレックス」
「消えない月」は加害者と被害者の二つの視点から「ストーカー」を描いたもの、「シネマコンプレックス」はシネコンで働く一日をとおしてスタッフたちが抱える悩みを描いたもので、2作品共私がnoteで記事を書く前に読み終えた作品たちなので、著者の作品はとても久しぶりですが、今回は「多様なセクシャリティ」がテーマです。

性や恋愛のことを考えなければ、僕は「普通の子」だ。でも性や恋愛のことが大事にされる世界で、僕は「普通の子」ではない。

本文p82

こう語る鳴海優輝は、大学のジェンダーの授業で「アンセクシュアル、アロマンティック」という言葉を知り、定義は定まらないものの名前があることで、救われる気持ちをもつという場面に、私はなぜかドキドキしてしまいました。

なぜなら私の年代ではとても想像できない性的嗜好に、もしや友人の中にいたかもしれないと思ったからです。私のことだから、きっと無神経なことを言っていたかもと思うと、無知とは恐ろしく、ヒリヒリした気持ちです。

知識を得て、言葉を知り、客観的に自分を考え、少しでも楽に生きていける道を探している。

本文p168

さらに初めて知った思考が、強い信頼関係を築いた先でしか、恋愛感情を抱けない「デミロマンティック」

作品では喫茶店「ブルー」を営む啓介がそうなのだが、啓介の指向をわかり愛され結婚し娘を持ったはずの妻の絵梨でさえ、今の状況に疑問を持ち離婚を考える場面に、関係性の維持の難しさが描かれています。

常連客の悩みに向き合う鳴海が、自身の悩みにこう考えたのが、作者の多様なセクシュアリティを持つ人々への答えのように思いました。

いつか、壁を乗り越えなくてはいけないと考え、自分を追い詰めていた。
それは、間違っていたのだと思う。
壁のこちら側で楽しく暮らせば、充分なのだ。
そうしているうちに、その壁は自然と崩れていく。

本文p248

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
週末になって、冷たい雨が降っています。どうか風邪などお気をつけて。

#シニア #田舎暮らし #今日のつぶやき #畑野智美 #世界のすべて #光文社 #ジェンダー #読書感想文

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