描写の激しさに戸惑いつつも 頑張って読んだ作品(44-50)
今週も始まりましたね。少しは暑さがおさまったらいいですね。
さて今回図書館から初めて読む作家さんの作品を借りてきたとご報告しました。その1冊、小野美由紀氏の作品を昨日読み終えました。その作品は私には衝撃的なものでした。
遠い未来、地球軌道上の人工衛星で暮らす女性たちは、国を守るために子供を産むこと、そのための妊娠を義務付けられていた。ただしそれには、地上に棲む男たちを文字通り「食べる」ことが必要とされる―そんな変わり果てた世界で「普通の」女の子として生きるユミの葛藤を描き、ネット上で旋風を巻き起こした衝撃作のほか、幼馴染みの性的な変身をめぐって揺れ動く青春小説「バースデー」、未曾有の実験により12人の胎児の母となった研究者のドラマ「幻胎」など、性とともに生きる人々の姿を活写する5つの物語。(「BOOK」データベースより)
作品は表題作「ピュア」をはじめバースデー、To the Moon、幻胎、エイジの5作品です。
早川書房「note」で、歴代1位のアクセス数20万PV超を記録したという、表題作「ピュア」はSFの世界なのだと分かっていながらも、過激な性描写から始まり、男を女が食べるシーンの生々しさに、幾度となく息の詰まるような苦しさと、本を閉じてしまいたい衝動に駆られる、出会いとなりました。
比較的肯定的に捉えることができたのが「バースデー」でした。親友と思っていた女の子 ちえが1ヶ月連絡が取れなかったと思ったら、突然完全に男性となる治療を受けて男の子として、目の前に帰ってきたというものですが、
「”女の子だから注意しましょう”って一体なんなんだろうね。ひどいことをする大人が悪いじゃん。それなのになんで女の子が、自分たちの不注意みたいに言われなきゃいけないの?なんでこんな怖い思いをしないといけないの?」って言ってたのが、わたしにはものすごく印象的だった。作品「バースデー」p68
この一文で、現代社会における女性やLGBTの人々の置かれている立場に、著者が強く怒りを持っているのだと感じ、やっと共感できる気がしてほっとしました。
「(前略)近くに仲間がいなくて、遠くのまだ見ぬ誰かと感情を交換したくて、こんな風に文字に変えて残したんじゃないかな」作品「エイジ」p207
さらに「ピュア」の前段階を描いたと感じさせる書き下ろしの「エイジ」でのこの台詞に、文学への期待を持っていることを感じ、やっと著者の意図が分かった気がしました。
最後に
「人は常に半分新しくて、半分古いんだよ」作品「バースデー」p104
この短編集を通じて、私もまさに人類はこういう気持ちで進化しているのだと改めて考えさせられました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今日紹介した本は、好みが分かれる作品かと思います。けれど、好きか嫌いか、いいか悪いかは読んでみないとわかりません。今後も出来るだけ先入観を捨てて、たくさんの本と出会いたいと思います。
これからもよろしくお願いします。
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