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GX-Z7000 A&Dカセットデッキを修理します。
今回はA&DのカセットデッキGX-Z7000の故障です。
先日店内視聴用のカセットデッキを入れ替えようと試運転の為、
GX-Z7000の電源を久しぶりに入れました。
ところが
あれれ、片方から音が出ません。
このGX-Z7000は数年前にヤフオクで故障品として入手したものです。
暫く放置されていたのかヘッド上下用のグリス硬化によりヘッドが上下しないという物でした。
メカ部を分解して潤滑をやり直し復活させて暫く保管していたままになっていました。
保管直前の試運転ではヘッドホンからは元気なサウンドが聴けていました。
製造から約40年経過していますから、保管していても故障するのは仕方ありません。
A&Dとは?
A&Dとは聞き慣れない人もいるかもしれません。
6年間しか存在しませんでしたから。
AはAKAIの「A」
DはDIATONEの「D」
AKAIはカセットデッキの専門メーカー。
DIATONEは三菱電機のオーディオブランド。
1980年代半ば過ぎ辺りからCDプレーヤーの人気が始まり、市場は新たに登場したCDプレーやに人気が集まっていきました。
そんな状況の中であってもAKAIはひたすらにカセットデッキ生産
メインです。
しかし、それでもカセットデッキ1本で世界に名を知らしめた
「AKAI」ブラランドは凄いです。
DIATONEはスピーカーに定評がありアンプ類にも力を入れていたようですが、カセットデッキの生産はかなり少なかったようです。
今でも殆ど見かけることは有りません。
そんな両社が手を組み互いの弱い部分を補う形で誕生したのが
A&Dというブランドでした。
主力は主にカセットデッキ。
AKAIが作って三菱電機がアフターサービスを担うというスタイルです。
三菱電機は本業は家電メーカーですから販売網サービス網は
充実しています。
その効果もあってかAKAIは生産にコストを集中させることが出来ました。
それがコストパフォーマンスの良い製品の登場理由と感じています。
故障時に三菱電機に機器の内部を見られるわけですから
カセットデッキの専門メーカーとして恥ずかしい製品は当然作れません。
1980年代後半のA&D製品はコスパがいいと僕は感じています。
ライバル他社の同ランク機と比べるとやや安めの価格設定になっており、
高級機には標準装備の機能なども中級機でありながら備えていました。
例えばGX-Z7000ではパワーイジェクト(パワーローディング メーカーによって呼び名が違います)機構。
これはイジェクトボタン指で押してカセット挿入部の蓋を開けるのではなくストップ又はプレイボタンを押すと自動で開きカセットテープをセットして
プレイボタンを押すと自動で閉まり再生がスタートします。
当時7万円台でこの機能装備は革新的だったと思います。
又通常カセットデッキはストップ時にはヘッドはホームポジションにあり、
再生ボタンを押すと再生位置に上がります。
このGX-Z7000はホームポジションと再生位置との中間あたりに
待機ポジションがあり再生をストップさせたときはこの待機ポジションで
ヘッドが止まります。
テープとの距離が近い為再び再生ボタンを押すと直ぐに再生が
スタートします。
これはAKAI独自のサイレントメカニズムです。
ストップなのにポーズ(一時停止)の様な感覚です。
AKAIは他社との競合に負けないようにかなり頑張っていたと感じます。
それを立証するかのように、A&Dのカセットデッキは価格の割に
高性能でしたので今でも中古市場では良く見かけます。
人気の裏付けで貴重な製品群です。
やがて市場はCDラジカセ等が台頭してきて据え置きオーディオは
バブル崩壊も相まって縮小していきます。
カセットデッキに限らずピュアオーディオ製品は1980年代末期がピークで
コスパに優れた素晴らしい製品群が沢山残っております。
これらの時代の機器がメーカーとしての最高傑作だと感じています。
1993年には6年間の提携解消をしてA&Dブランドは消滅しました。
この頃になるとMD(Mini Disk)等の圧縮音源系が人気が出てプアオーディオの時代に入ります。
これがバブル崩壊後の氷河期です。
前置きが長くなってしまいました。
お待たせして申し訳ありません。
やっと修理記事に入ります。
今まで自室で音楽を聴くときは当然スピーカーに繋げてありますから
ヘッドホンで聴くことはありません。
ですからヘッドホン端子が使えなくても修理することはありませんでした。店内視聴はBGMを流している関係でヘッドホンが必須です。
今まで聴き慣れたカセットテープでもヘッドホンで聴くと又違う聴こえ方があったりと楽しみ方が増えました。
ヘッドホンで聴くのも有りだと考えが変わりました。
右チャンネルから音が出ない。
ヘッドホン回路は大体どのカセットデッキも再生信号を
ヘッドホン端子直前でIC増幅するだけ、と同じ作りです。
調べてみるとこの増幅用ICに駆動用+電圧がかかっていません。
その回路の電解コンデンサーを交換してみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1721567278950-JN6AVNV2Ih.jpg?width=1200)
IC電源回路のコンデンサー
変化は有りません。
ICとトランジスタは問題なく機能しているように感じます。
GX-Z7000はヘッドホン出力を可変出来ますのでフロントパネル裏のVR基板をチェックしてみます。
先のICからの信号線のはんだはしっかりしておりクラックは見当たりません。
こうなるとVRか?
基板から外し抵抗値を測ります。片方が変化しません。
VRの故障です。
![](https://assets.st-note.com/img/1722178443504-zVYm0Qyq94.jpg?width=1200)
シャフト長35mm
10KΩ Bカーブです。
しかしシャフトが長いです。
分解して接点磨きを行ってみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1722178741476-KQxbcidmyr.jpg?width=1200)
アウトです。
調べたところ接点ではなく端子と被膜の接合部?が不良になっていました。
ロングシャフトのVRはややレアです。
さてさて見つかるかな?
部品調達の為一旦中止します。
⇓ ⇓ ⇓ こちらにもメンテナンスの記事があります。 ⇓ ⇓ ⇓