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KD-A5アップグレード➁音質向上に挑戦

ビクター、KD-A5の音質改善を試みます。

KD-A5は1978年発売の普及価格帯のカセットデッキで。
当時の感覚では価格の割に高機能です。
しかし頑張ってはいるものの音質面では高音質とはいえません。

メタルテープ対応ですが再生アンプは廉価な作りです。
それでも全体的には「お値段以上」なのは変わりありません。
部品を交換して音質向上を狙うというのが今回の記事です。

電解コンデンサー交換

まずは定番の電解コンデンサーを交換します。
トランジスタやダイオードの様に足が黒くなることが無いので見た目では
劣化具合が分かりません。

電解コンデンサーは故障しなければ古くてもそれなりに機能して
それなりの音を出してくれます。

しかし、交換して音質が大きく変化する機器も有ればあまり変化しない、
パーツによる影響を受けにくい回路設計の機器もあり面白いです。

電解コンデンサーは、車でいえばエンジンオイルの様な位置づけになるのではと感じています。
オイルの交換時期が過ぎても車は走ります。
新しいオイルに交換した直後はどこがどう変わったというより何となく全体的に調子がいいぞ。
という曖昧な変化を感じることが出来ると思います。
機器によりますが電解コンデンサー交換もこれに似ているかなと思います。

KD-A5はかなり多くのコンデンサーが使われています。
このKD-A5で録音することはありません。
従って再生に影響のない回路は交換しません。

・ 電源部
・ 再生回路
・ ヘッドホン回路

をメインに交換します。
ラインアウトやメーター回路はそのままにします。

電源部ダイオードは手持ちの整流ダイオードが使えたのでこの機会に
交換しました。

交換したコンデンサーの一部。
ダイオードは足が真っ黒です。
オレンジ色のは漏れ電流が少ないタイプ。
当時オーディオ用コンデンサーはレアだったため
音声信号ラインの要所にはこのオレンジ色の
通称低リークタイプが使われていました。

技術の向上で同容量でも小型化されている
近年の電解コンデンサーは古いものとリードピッチが合いません。
電源部のコンデンサーはしっかりと固定するのが理想です。
あまりお勧めはしませんが、基盤に穴をあけてコンデンサーの底部が基板に接するように加工しました。

KD-A5は基板の半田面に部品番号が印字されています。
非常にありがたいです。
作業効率もいいです。
筐体も梁のような枠組みで頑丈にしっかり作られています。
設計陣の熱意が感じられます。
KD-A5はドルビーではなく独自のノイズリダクションANRSを搭載しています。
ドルビーを使用しないということはライセンス料が発生しません。
その分のコストを有利に使えるので59800円の価格にて「お値段以上」が
実現しているのだと感じます。

補強枠で構成されていて堅牢な筐体です。
59800円でこの作りは豪華です。

一通り交換完了です。
KD-A5は同じ型番でも輸出用と国内用では部品が一部違います。
又部品番号も違うのでもしかしたら交換漏れが有るかもしれません。

試聴してみました。

低音がしっかり出ているように感じます。
全体的に解像度が上がった感もあります。
以前は粒の荒い濁った音のように感じていましたが
いくらかの改善は感じられます。
中音域から低音域側が豊かです。
高音域のエネルギーが弱くクリア感が少し足りません。
コンデンサーの種類を変えればいくらかの変化は有るかもしれません。

低音域にパワーがあるのは最終段の信号ラインに使ったニチコンKZの
特徴と思います。
FGに変えれば高音特性改善が期待できそうです。
エージングもあるので一度これで完了とします。

次は再生アンプのトランジスタ交換による改善にチャレンジします。
パーツ調達のため一旦中断します。



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