スイスに行きたい
「あゝスイスに行きたい。」と聞いたらあなたは何を想像するだろうか?
モントルーJAZZフェスティバルやローザンヌ国際バレエコンクールみたいなアートか、アルプスで楽しむウィンタースポーツか?それともチーズをはじめとする食事や景勝地の周遊かもしれない。レマン湖をただただ眺めながら過ごす時間というのは贅沢だろうな。ジュネーヴのダヴィドフ本店でシガーを買って、燻らせたらとても素敵な時間を過ごせそうだ。
しかし、残念ながら僕がしたいのはそういう事ではない。いや、上記の事もしてみたいと思う。スポーツはあまり興味がないからしなくてもいいけど。
今年から当店ではabsinthe(アブサン)というリキュールを扱い始めた。どういうものか知らなくても名前くらいは聞いたことがあるという人は少なからずいるんじゃないかと思う。簡単に言うとニガヨモギやアニスなどのハーブを主体とするリキュールだ。19世紀末から20世紀初頭にかけて、これを飲むのがフランスで大流行した。
ゴッホ、ロートレック、ヴェルレーヌやボードレールなどが愛飲した、と言えばどんなものだか想像がつくだろうか。
原液は無色透明や緑色を帯びているが加水するとミルキーに濁る、なんとも妖しくセクシーなリキュールである。そう、曰く付きの酒だ。
で、このabsintheが生まれた場所というのがスイスのVal-de-Travalsという谷あいの地域。そしてここで年に一度、absinthe festivalが開催される。これに行きたい。そして近くには博物館まであるという。観たい。
フェスで蒸留所は門戸を開放しているし、蒸留家と会話もできるようだ(言葉を話せれば、だけど)。
日本国内では出会えないabsintheはもちろん、年代物もしくは作家物のファウンテン(給水器)やグラス、スプーンなど(absintheには専用のそれらがある)も見つけられるだろう。経験もモノもいちどきに得られる、とてもとても素敵な機会である。
さらに贅沢ができるなら、そこから少し西へ行き、フランスに入ればFrench Absintheの聖地、ポンタルリエがある。そこも周ることができたらさらに素晴らしい機会と経験になるなあ…だったらフランスoutにしてディジョンでリキュールの蒸留所を、さらに足を伸ばしてランスはアイ村でシャンパーニュを愉しんで…などと妄想はどこまでも果てしなく拡がる。
まあフランスはさて置き、こんな理由で”スイスに行きたい。”となったのだけどそこで考えるのはお財布ですよね。覗いてみたら底が見事に見えているゆえ(と言うよりも穴が開いてるんじゃないかと最近は疑っている)行けるわけもなく。
まあ思いが募れば募るだけ行けた時の感動はひとしおだろうし、来年こそは!とここから1年またやっていこう・がんばろうという理由がひとつ、見つけられた(ハズだ、たぶん)。
しかし自営業の悲しい性、仮に行けるようなお財布の状態になったらなったで今度は休業する日数とそれに伴う補填分の生々しい計算が頭に渦巻く。
あゝ、本当にスイスへ行けるのはいつの日やら。
もし、記事を読んでくれてお店の方が気になったら覗いてみてください。Instagram / FBもページがありますが、まずはオフィシャルHPを。 http://www.bar-tool.com/ サポートしていただけた場合はお店の運営に充てさせていただきます。