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バーテンダー、韓国のBARを巡る。 ~初日、二日目

さて、前回の予告通り伺ったBARの話。
とは言えそんなに書けることは多くない。

なぜか?
行ってみれば久しぶりの海外、現地のBARということもあって楽し過ぎた。
そもそも昼間~夕方はだいたい何か食べたりノンアルコール飲んだりしてその後にBARへゴー。
そりゃ保たないわ、という。
そして行く先のBARで「バーテンダーです」って言うと必ず「乾杯しようぜ!」とショットグラスが出てくる。
「噂には聞いていたがこれが韓国の乾杯か!」って感動しました。
それもだいたいハイプルーフ。
こういった歓迎のされ方もずいぶんと久しぶり。愉快。

1.Pomme
今年のBest BAR 50にもランクインしたBAR Chamの系列店。
本店に行きたかったのだけど、あいにく満席+ウェイティング。
そこで近くに系列店があるから良ければそちらへ、とスタッフに教えてもらって伺った。
仄暗く落ち着いた照明にJAZZが流れる店内。
箱自体はそこそこのサイズだけど日本のBARと雰囲気変わらず。
シグネイチャーのカクテルを数杯頂いた(…というかどのBARでも頂いたのはほぼ全てシグネイチャードリンク)。
どれもそう呼ぶにふさわしい、伝わる作り。
コンセプトの太さは伺った5店舗の中で随一だった。思考された跡とその結果からの説得力、そしてそれらから来る厚み。
韓国でBARを巡るならぜひ組み込んで欲しい一店。

2.Le Chamber
大箱。天井からはシャンデリアが下がり、ピアニストがグランドピアノでJAZZを奏でる。
昭和の銀座を思わせるゴージャスさ。
スーツ姿の総支配人&フロアマネージャーらしき2名+バーテンダー5名ほど。
浅いコの字カウンターと革張りのボックス多数。
ちょうどカウンター角に座れたので動きと手元がよく見えたポジション。作りといいセッティングといい「なるほど」と思えた。
カクテルに特筆すべきところは見つけられなかったけどトップ二人のシェイキングが綺麗だった。
カウンター内の設計はドリンクの用意含め勉強になりました。

3.Tea Scent
Le Chamberで次に行くべきBARを聞いたらZest、Aliceと共にこちらを提案してくれた。
名前の通り茶をメインに使うBAR。インフューズから副材料にまで広く使用していた。
お茶は僕も最近になってよく使うようになったので参考にできそうと訪店。
一番の感動は"Rain drop"というカクテル。
Ingredients(使用素材)に”Rain drop (ASMR)”とある。なんだろうと調べてみると「人が心地よく感じる生理的反応音」のことらしい。確かに雨音は心地が良い。しかしその音をどう使うのか、使えるのか?
銅マグでミントジュレップのツイストみたいのがサーブされた(ヘッダー参照)。花水盆みたいだ。
これが?と思ったら何やらマグの中から音がしてくる。耳を澄ますと何かが弾ける音。確かに雨音のように聞こえる!
そのビジュアルと相俟ってまさに雨音に聞こえてくる。なんとも風情と情緒あるもの。
しかしてこの"雨音"、どうやって出しているのか。ダメ元で聞いてみたら見せてくれたタネは弾けるキャンディフレーク。
日本人で一定年齢より上の人たちなら「ドンパッチ」と言った方が伝わりやすいであろうアレである。なるほど、こういう使い方があるのか!と感心するよりその音を素材として表記する、そしてネームにするそのセンスが素晴らしいと思えた。
プレゼテーションとしては飲んだ中で一番。
Fat Duck(UK)の”Sounds of the sea”を思い出した。
帰国後、この話をしたらけっこう前にEl bulli(Esp、既に閉店)で同じ様な手法の料理が出されていたことがあるのを教えてもらった。
そういえば随分前にフェランが来日した折、駄菓子を面白がって大量に買って帰った話があったな、と思い出した。
いろんなことは繋がる。

初日にPomme、二日目にLe ChamberとTea Scentへ伺った。
夜が遊べる三日目、最終日の2店は次回。

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BAR illud
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