抜歯emergency~21世紀の禁酒法時代
マンガの表現とはやはり現実の誇張表現ですね。実際の事象をデフォルメしたりブーストしたり。
先週金曜日、それを実感しました。
何をしたかというと、智歯(いわゆる親不知)の抜歯。
まあ見事な…いや、美事なまでの腫れっぷり。ほぼマンガである。
確かに抜歯で腫れた人の画像を見たことはあったけど、エフェクトでもかけてるんじゃないかと内心疑っていた。
が、やられると確かに腫れます。もちろんマンガほどではないけれど、顔の輪郭が変わる程度には。
でもおそらく多くの人はそんなレベルでは変わらないだろう。
僕もココ以外の歯は問題なく、「ちょっとコーヒー飲みに行ってくるわ」な感覚で行って抜けた(抜く時にそんな感じになれるほど肝は据わっていないが)。
だから今回もそのつもりだった。
しかし、レントゲンの結果はその希望を見事に蹴り飛ばしてくれた。
写っていたのは忌々しくも横向きに生え、それに加えて歯根にかけて膨らんでいるという厄介なフォルムだったのだ。
それを見ての歯科医の第一声は
「大学病院に紹介状書くのでそちらで抜歯してください。当院では無理です。」と。
この時点でもう絶望である。
さらに「もう虫歯になっているので遅かれ早かれ抜かざるを得ません。先手を打つか、どうしようもなくなってから対処するかは選べますが」と追い討ちをかけられた。
そりゃ迷わず行くよね。行く/行かないで悩む理由なんかどこ探したって無い。
そこから紹介状を手に通い始めて約7ヶ月。
長かった。
抜歯は案の定で大変だったらしい。
らしい、と書いたのは施術中の記憶が僕にはないのだ。ありがたいことに。
「静脈鎮静麻酔法」という眠っているような状態で行われたので、ほぼまるで覚えていない。
気づいたら終わっていた。
担当してくれた方と帰宅前の面談で「あれ覚えてたら泣いちゃいます」と言われた。
すっぽり抜け落ちているのは心の底から良かったと思う。
そこまで先方が言うということは間違いなくそれ以上のことだから、200%の確率でトラウマになったであろうことは想像に難くない(今でも歯科は十分以上にそれだが)。
だいたい、紹介状を書いてもらう時点で「抜歯に痛みを伴う確率は50%&50%ですね」と言われていた。そう考えると前述の方法は最適解だった。なかなかに悪運が強い。
で、帰宅後にニュースを見ていたらこれも案の定で緊急事態宣言。
「またムダな事を…」と思っていたら、あろうことか今度は酒類の全日提供禁止。
実質、BARは営業停止である。
これは要請か?強制、いや、強請と言ってだろう。
酒の提供をなくす程度の場当たり対処で抑えられるのならとっくにできているはずだ。あるいは百歩譲って、「人流を抑え」、この間に何か手立てを考え行動するというならまだ理解もするが、まあするだけムダな期待だ。
これを愚策という以外に言い方があるなら教えてほしい。
抜歯は抜歯でごく私的なemergencyなわけだけど(1週間経ったのでだいぶ元に戻ってきました)、商売ができないというのはそれよりも遥かに歯の…じゃなかった、頭の痛いemergencyである。
仕方ないので宣言明けるまで全日休業します。
とは言わない。
偉そうに言えるほどでもないが、去年のわずかな期間、モクテル(ノンアルコール・カクテル)には集中的に触れたし、パウンドケーキもけっこうな数を焼いた。自分なりに掴めたものはある。
その経験があるなら活かし、やれる事をやった方が良い。休業なんて選択肢はどのタイミングだって採れる。
そういうわけで宣言期間中は”準”喫茶 TooLとして不定休で営業することにしました。
フレッシュ・フルーツを使ったモクテルと焼き菓子、それに気が向けばサンドイッチでも用意してゆるゆると15:00くらいから。
営業状況に関してはインスタかFBのストーリーを見てもらえれば確認できます(宣伝)。
“純”喫茶ではない。
あくまでバーテンダーがやる喫茶店である。
アルコールは出せないから「特殊喫茶」でもない。
しかし「純粋な」喫茶店でもない。
けど、喫茶店に「準じては」いる。
だから”準”喫茶。
不本意極まりない営業だ。
しかし、この(くだらない)規制の中で何ができるのかを考えるのも新しい視座で見るいい機会かもしれない。
否定するだけでは何も生まれないので、後に繋げられる何かが得られればと思う。
気が向いたらお待ちしてます。