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不粋者の験担ぎ

11月に入り数日経過。
つまりこの1年も余すところ60日を切ったのだ。
「今年もあと2ヵ月弱ですね」と月単位で言われるよりも日数単位で言われる方が焦燥感が増す。
何に焦るのかはわからないが。
2020はコロナのせいで「いろいろあった年」というのが正しいのか「何もなかった年」というのが正しいのか。いずれにせよ時は我関せずと等しく流れ、終わりが見えてきている。

10月末日、キリスト教世界におけるお盆(ハロウィン)当日にも関わらず、スーパーなどでは早々とクリスマス・ツリーやオーナメントなどが棚に並んでいるのは気が早いな、と苦笑してしまった。
セールス的にはそうせざるを得ないのだろうけど風情もへったくれもあったものではない。いや、ハロウィンに風情というもの自体あるのだろうか?その疑問ははどうでもいいにせよ、あれだけ騒ぐなら売り出すのは翌日からでもいいじゃないかと思う。世知辛いものだ。

さて、月が明けた今月。
キリスト教的お盆ほどの騒ぎも経済効果もないかもしれないが日本の風情と情緒溢れる行事がある。
酉の市だ。
験を担ぐ商売人には欠かせない行事であり、(個人的には)楽しいイベントでもある。
今年はどうなることかと思っていたけど無事開催。めでたい。
僕も”験を担ぐ商売人”の端くれとして、その発祥とされる鷲神社(浅草)へ。
一の酉(11/2)に詣でてきた。

酉の市に足を運ぶようになって4年くらい。
馴染みの熊手屋さんがあるわけでもなし、ぷらぷらと見て周って惹かれた熊手を連れ帰る。
大きくて立派なものでなく、いつも豆熊手より少し大きい程度のものを。今年は一目惚れでした。

もちろん予算の関係もあるけれど、BARが故にこれ見よがしに飾るスペースもなし、大きく稼ぎたいわけでもなし。
分や希望相応を考えるとこれが適正だろうという判断。
まあ、”かなり上を目標とした結果、業績が少し上がってくれれば御の字”なのが商売というのは身を以って知っているから、比例する大きさのものくらいじゃ”お店を存続させられる程度を希望”と神様に取られている可能性が大きい。
それでも「今年はあまり大きな声ではできないですけれど…」と繁盛祈念の手締めをしてもらってお酉様を後にしました。
しかし「コロナもあったので今年の熊手は少しお安めにしてあります」と言われたのはなんだか申し訳なかった。縁起物でそんなことする必要ないのに…。
すかさずその分を心付けに、とお渡しできれば良かったのだけど咄嗟にアタマが回らぬ不粋者である。
そこに気づいたのは翌日だった。
はぁ。
“粋な旦那”になれるのはいつのことやら。
来年は同じ熊手屋さんでお礼ともう少し欲張った繁盛祈念を兼ねて一段大きいのを買おうと思います。

因みに当日の0時回った頃は懸念された状況のわりに人が出ているあった印象だけど、どうやら日中以降はずいぶん寂しかったようだ。
やっぱり酉の市は人でごった返して手締めや威勢のいい声があちこちから聞こえてきてくれないと。

まだ二の酉、三の酉とあるので風情と情緒を感じに足を運んでみてはいかがでしょう。
そうそう、三の酉がある年は火の用心です。

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