グルーヴするお店 ~Ān diに行ってきた
今回は外苑前にあるモダン・ベトナミーズ、Ān diへ行ってきた。のお話をお送りします。
伺ったのはこれが2回目。初来店以来2年ぶり。
前回は興味本位で伺ったところにいきなり予想よりも遥か上のレベルを体感、とても舞い上がってしまったのが否定できなかった。だから今回は冷静に楽しもうと。…「冷静に楽しむ」ってのも変な話だな。
ま、結果から言うと舞い上がっていても冷静でいてもいっしょでした。
1回目の印象がとても良いというのはどうしても前の体験に比べてしまって減点法になるから2回目はけっこうしんどい。
でも逆に大して印象に残らない、或いは良くなかったところにわざわざ2回目出向くかと問われればそんなことはないし。飲食店てその加減が難しい。
そんな中で変わらず「さすが!」と言わせるのはすごいなぁと思うわけです。
供されたお皿は本当にどれも美味しかったけど、別にここでその内容について書くつもりはない。
門外漢の素人だし、批評できるほどの経験値も語彙も持っていない。そもそもお店とは総合力なのでそれで全てが語れるわけでもなし。
もちろん僕にとってはそれ単体でも素晴らしかったのは間違いない。しかし「だけではない」部分がしっかりと存在した。
それはひと言で言うなら「グルーヴしている」というのが適当だと思う。
空気がうねっているのだ。
これがグランメゾンの重厚さだったらまた違う印象を受けると思うけど(そもそもそういう場はうねるというより優雅に、滑らかに流れていくという方がイメージに叶う)、こちらはカジュアルな雰囲気。その中でスタッフが生き生きと動き、オーダーが飛び交い、キッチンはそのリズムに乗って更に躍動感を得て動く。そして上がったものがばんばんサーブされていく。
ライブを観るが如くそこを観ているととてもワクワクする(こちらはオープンキッチンで、ありがたいことにそれを堪能できるカウンターだった。こういうお店はカウンター席があるならそこが最高の席だと思う)。
このループが永久機関よろしく店の空気をうねらせるのだ。
しかし不思議なもので、BARだとバーテンダーが忙しく動いているのは落ち着かなく、グルーヴィには感じない。それに美しくないので好きじゃない(だからごく稀に当店が忙しくなり、パタパタと仕事をしている自分のことも好きになれない)。
用途の違いなんだろう。
料理は−それもコースだと尚のこと−そこにいる時間全てを委ねる感じがあるからで、BARはあくまでもその1杯分の時間しか委ねないからだろうか。
ともあれ、食事メインのお店が賑々しくグルーヴしているのは目で見ているだけで楽しい。そしてそれはこちらにポジティブな影響をもたらしてくれ、供されるものをさらに美味しく感じさせてくれる。
「空腹は最高の調味料」と言うけどグルーヴする、うねる空気もまた最高の調味料のひとつだと思う。
そういうお店に幸運にも出逢えた時はココロもお腹も委ねて、その空気に呑まれてしまうのが最高の楽しみ方だと思うのだ。
僕にとってこのĀn diというお店はそういうお店である。
両手放しの内容で今イチ信用に足りなさそうな書きっぷりになってしまった。
ファンの感想みたいなものだから真に受けなくても良いけど、もし少しでも興味が湧いたら行ってみるのをオススメします。
おそらく抱いた期待以上に楽しめるお店だから。
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