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すい臓.mic6

【読後感想】君の膵臓をたべたい

言葉は往々にして、発信した方ではなく、受信した方の感受性に意味の全てがゆだねられている。

君の膵臓をたべたい
p.56 l.10

本屋大賞にノミネートされた作品

僕も桜良も高校二年生。
僕はぼくに似た本の虫。他者との関わりを拒むため、休み時間には本を読む。

ぼくは高校の図書室には行ったことがなかったけど、僕は図書委員。そして桜良は自由参加してきた図書委員でクラスメイト。

桜良は、すい臓の病気で余命宣告を受け、それを家族以外誰にも、親友のキョウコにも伝えていない。僕とは反対に社交的で明るく目立つ女の子。

僕は偶然、病院の待合室に置き忘れられた、桜良の共病日記の最初の頁を読んでこの重い事実を知る。

僕に知られた桜良は瞬時に開き直って、それから秘密の共有という強力接着剤で時間を合わせ始め、キョウコからの白い目と、クラスメイトの好奇の目を浴びながら、アイデンティティを変革させていく。

自己変革

自己完結していたはずの僕が、他者の存在によって実在を保障されていたことに気付く。

僕の中に桜良を通して観る世界観が生まれ、そして支配されていく。互いを通じて、相手にどのように思われているか、小さな苦悩が芽生える。

どのように、思われているだろうか。
誰しもが持ち続ける、人間関係がうまく運ばない最大原因。
僕と桜良は、互いに正直に話しているという大嘘で、それぞれ自身をだましながら、ようやくその鎧を脱ぎ捨てようとし始めて夏休みを終える。いつの間にか、自己完結できない自分の存在に向き合って。


ぼくはどうだろうか、、、


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カエル少尉
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