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【読書】ブラックジャックによろしく(佐藤秀峰)

※「ブラックジャックによろしく」の後編が「新ブラックジャックによろしく」となります。佐藤秀峰さんによる日本の漫画。日本の大学病院や医療現場の厳しい現実を描き出した漫画であり、主人公の心の中の葛藤と苦悩、また患者の心の中までが丁寧に描かれ、医療に関わりのない私でも、専門的なことをわかりやすく描かれています。

【面白かったポイント3つ】

●医療現場と大学病院の現実リアルを知ることができる。
 主人公は、研修期間に宿直のバイト等をしながら、大学病院で心臓外科、NICU新生児集中治療室、小児科、精神科等様々な場所で学び、医師になるため成長していきます。例えば

①大学病院で手術を受けるより中小病院で受けれる手術ならそっちの方がよい!?「バカだな……手術の”ウデ”は医者が多過ぎたら鈍くなるんだよ……手術なんてすればするほど上手くなるんだから……患者に対して医者が多過ぎる病院は、手術はあんまり上手くなんないのよ」確かに。。。それであれば実践と経験をたくさん積んでいる人にお任せしたいですよね。

②死にたくなければ夜間に車に乗ってはいけない。
万が一、夜間に事故を起こしたとしても、まともな医者に診察してもらえる可能性はほとんどない。夜間の病院には研修医しかいない、それは日本中の病院の常識であり、夜間にまともな医者に診察してもらえる可能性はない。夜間の宿直アルバイトに出た研修医のうち80%が単独診療を経験し、アンケートで、90%以上が不安を抱えながら診療をしているという実態がある。それがこの国の夜だ。

③大学病院には、医者の分類として、臨床医(病人の方と直接向き合う方)と、研究医がいるそうです。作品の中でも大学病院とは臨床機関であると同時に研究機関でもあり、教授になるためには論文”研究”が必要となるとのことでした。臨床医が救えるのは出会った患者だけで、研修医は研究成果で数百万人の患者を救うこともできる。どちらがよいというわけではないと個人的には思うが、大学の教授という職業は臨床能力が高くなくてもなれるものなんだとわかりました。

●なくならない差別について
 この漫画の中で特に気になったのは”差別”について。NICU篇でのダウン症や、精神科での障がい者について、イジメや差別がなくならない理由として、感情に悪意はない、だからこそ差別はなくならない。障害はどこまでいっても障害だ。断じて個性なんかではない。という一節があります。第13巻では、弱くてかわいそうな患者達を……正義の味方の自分が守ってあげている……その感覚こそが……差別と呼ばれているものなんですよ……ともあります。どうしよもないものに対して真剣に向き合ってもしょうがないのかなと思いました。

●生きるとは死ぬとは
 死ぬことを考えることは生きることを考えると同じことで、新ブラックジャックによろしくの方は、移植がテーマに描かれてます。生きていること、死んでいること。倫理観について。どうせ死ぬなら医療とは、医者とはと主人公は悩み自分の心に正直に生きていきます。肝臓移植については以前、【孤高のメス】という小説が大好きで3回は読み直したのですが医療系の本が好きということであれば、是非こちらも読んでみてもらいたいです。重たく重厚で、お医者さんが実際に書いている小説というのもあり手術シーンもめちゃくちゃ緊張感があってぜひぜひ読んでほしいと思います!


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