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”集団抗争時代劇”×滝沢馬琴     =『傾城水滸伝』第7編2~4


『傾城水滸伝』(曲亭馬琴 著)とは


 中国の『水滸伝』の翻案(パロディ)。女・子ども向けの絵双紙。(ひ

らがなで書かれており、絵つき)舞台を日本に移し、鎌倉・後鳥羽院の御

代と設定。主要登場人物の性別を逆転、好漢が女傑として登場する。未完。

滝沢馬琴は、

  • 『懲悪』(ちょうあく:あくをこらしめる)

  • 『初忠』(しょちゅう。初善・中悪・後忠の三段階をふまず、最初から忠)

  • 『奪胎顴骨』(だったいかんこつ。本質は見失わずにアレンジ)

三つをテーマとした。

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🔼『傾城水滸伝』7編2~4(原典の『水滸伝』なら清風山の戦い)が”集団

抗争時代劇”に該当。beanjoは電子書籍になれていないので、図書館所蔵の

『滝沢馬琴全集 13』で読んだ。なのでステルスマーケティングじゃありま

せん。


”集団抗争時代劇”として


🔼beanjo未見。この映画では十一人がとりでにたてこもると聞く。『傾城

水滸伝』第7編の該当場面では五人の女性、女性に率いられた数百の兵がと

りでにたてこもる。タイトルにするなら『五人の賊婦』(ごにんのぞくふ)

とするべきか。

 とりでにたてこもる”五人の女性”

珠玉簾燕婦(たますだれつばくらめ。原典『水滸伝』でいう燕順)
伕遣の腐雞(せなやりのくだかけ。原典『水滸伝』でいう王英)
優素顔雌雉(やさがおめきぎす。原典『水滸伝』でいう鄭天寿)

 とりでにたてこもる山賊の三人の女頭領。実は鎌倉の御家人同士の権

力闘争で敗れた血筋の者、関係者。世間ではむほん人としてあつかわれてい

るので世に出ることができないでいる。力をたくわえて義兵の兵をあげよう

としている。

春雨の大葉子(はるさめのおおばこ。『水滸伝』原典でいう宋江) 

 書き役人だったが、訳あっておたずねもの。逃亡中に三頭領にとらえられ

てしまう。彼女がとらえられて三頭領と出会ったことでストーリーが展開さ

れていく。

女弓執の花的(おんなゆみとりのはなまと。原典でいう花栄)

 大葉子の友人。のちにむほん人の疑いをかけられ、とりでにたてこもらざ

るをえなくなる。

おまけ


  🔽『傾城水滸伝』では全体の”敵役”の一人として登場してる方。



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 NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が北条義時(演・小栗旬)を主人公に北

条氏という”勝った側”のおはなしなら、『傾城水滸伝』は北条氏に一度敗れ

去った”負けた側”のおはなしともいえる。


<参考文献>


『滝沢馬琴集』 第13巻 滝沢馬琴 本邦書籍 1990

『鎌倉殿の13人 後編』NHK大河ドラマ・ガイド 三谷幸喜 作 NHKドラマ制作班 監修 NHK出版 2022