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変なオブジェ

駅で待ち合わせている。
変なオブジェの前で。

スマホをいじってる姿を見せたくない気がして、
でも小説を読んでるのはやりすぎで、
結局ポッケに手を突っ込み棒立ちしている。
こんな形で人を待っていた事はないのに。
『自然であれ』という思いこそが、
みるみる不自然にしていく。

(顔に出すな)と言い聞かせた次の瞬間、
(感情のまま居た方が良い)と思う。
すごく勇気が出てきたり、
不安で息が苦しくなったりする。

もっと考えるべき事がある気もするが、
口の中でもごもごと、一言目の練習をしている。

「どこにいる?」と聞かれても、
「変なオブジェの前」としか言いようがない。

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