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雑詩集

64
詩的で私的なタイムライン。
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2018年5月の記事一覧

枝生 -shii-

枝生 -shii-

枝は枝だ
枝にはことりがとまる
枝はことりの巣になる
幹が枝を生やす
枝という概念がなければ
幹もない
枝を生やすものが幹だ
枝に生きることりのように
枝を生やす幹のように
それを拾い集める
人間のように生きるのだ

ころがり鬼

ころがり鬼

追いかけ続けて、30年。
気付けば僕が、石になってた。

転がり落ちる、石を追う。
なんで僕は、追ったのか。
動くものを、無意識にとらえる、眼。
考えるより先に、からだが動いた。

僕は石を、追いかける。
転がりやむことない、石を。
追いかけ続けて、30年。
気付けば僕が、石になってた。

呼名

呼名

人。行き交う、人、人、人。
わたしはそれを、見ている。

流れる。
ひそ、ひそ、ひそ…
誰かがささやく。
わたしはそれを、聴くともなく聴いている。

ぽつねんと、井戸、井戸、井戸。
水底に、蛙はいない。
わたしはそれを、見てもいない。

東。
日が昇る空。

西。
日が沈む空。

右手にコーヒー。
取っ手の付いた器に入っている。
私はそれを、飲むともなく飲んでいる。

左手

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