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【宿泊業の危機】スタグフレーションが地方宿に与える影響と打開策

1. 地方宿泊施設での価格低下が止まらない

近年、地方の観光地を中心に宿泊料金が大幅に下落しています。例えば、かつて1泊1人18,000円だった宿が、現在は11,000円まで値下げを強いられる事態が増えています。特に大型施設ではその傾向が顕著で、その影響を受けて小規模宿まで安売りを開始しているのが現状です。

この現象は、単に供給過剰による需給バランスの崩れだけではなく、予約が入るタイミングの遅さも一因となっています。予約が遅く、売上確保のためしびれを切らした宿が値下げを行っています。予約が直前になるほど、宿泊料金が下がる傾向があり、価格競争が激化しています。

2. スタグフレーションの影響:インフレは続くが給与は増えない

一方、宿泊料金が下がる一方で、インフレによって物価は上がり続けていますが、給与は追いついていません。これこそが「スタグフレーション」と呼ばれる現象で、物価が上がり続ける中で購買力が低下する状況です。

地方宿泊施設はこのスタグフレーションの影響を大きく受けており、値下げしなければ集客できないという悪循環に陥っているのです。

3. 都市部宿泊施設との格差:地方と都市の宿泊料の違い

その一方で、都市部(東京、名古屋、大阪、福岡など)では宿泊料金が逆に上昇しています。例えば、東京のビジネスホテル系のホテルでは、以前は1泊8千円位でしたが、現在では倍の1万6千円前後で推移し、今後も値上げが予想されています。ビジネスユーザーが経費内で宿泊できないレベルにまで達しており、特に大都市圏での宿泊価格は高騰しています。

地方と都市部での価格差が広がる中、地方宿はどのようにこの状況を打破すべきかが課題となっています。

4. 解決策1:手間暇をかけて価値を提供する

まず必要なのは、価格を下げるのではなく、宿そのものの「価値」を高めることです。限られたリソースの中で、宿泊体験をどれだけ向上させるかが重要です。具体的には、設備投資が難しい今こそ、接客や料理など「ソフト面」での投資を強化するべきです。

5. 解決策2:料理への投資で差別化を図る

現状で高額な設備投資は難しい宿が多いため、「料理」に対する投資が今後の競争力に直結します。お客様に感動を与える食事体験を提供することは、口コミ評価の向上やリピーター確保に直結します。

6. 解決策3:予約サイトのマーケティングを活用する

宿泊施設の多くが予約サイトに依存している現実を無視することはできません。ですから、競合他社の中でも高単価で売れている宿のマーケティング手法を分析し、その成功事例を自分の宿に取り入れることが効果的です。具体的には、プラン内容、写真の撮り方、レビュー管理などを参考にすることが重要です。

7. 解決策4:SNSを活用して、安売り競争から抜け出す

予約サイトの価格競争に巻き込まれるのを防ぐためには、SNSの活用が不可欠です。特にInstagramなどのビジュアル中心のSNSで、宿の魅力や「プライスレス」な体験を直接発信し、直接予約を獲得することが長期的な競争力強化に繋がります。


終わりに

地方宿泊業界では、デフレとスタグフレーションが同時に発生し、経営者にとっては厳しい時代となっています。しかし、価値提供やソフト面への投資、SNS活用を通じて、持続可能なビジネスモデルを築くことが可能です。


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