二人の時間 ー 創作詩42
ふわりとカーテンがなびく
焼けたスコーンとバターの香り
紅茶にもミルクを注いで
ゆっくりと流れてゆく時を感じる
彼女は自分の時間に生きる女
ピピピとめざましが声を上げる
焦げたパンとコップから溢れたお茶
徹夜で資料に目を通して
1秒も無駄にしないよう時を気にする
彼は他人の時間を生きる男
二人の部屋の間には浴室があり
彼女は浴室で、彼はシャワーを、
それぞれの時を進んでいく
あまりにも焦り過ぎていた男は
女に手を引かれたのに気付けなかった
一人きりになった女が
静かに彼の帰りを待っている