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春から大学生になる人にオススメする数学書・参考書

春から大学生になる人にオススメする数学書・参考書を挙げておきます.

高校までの数学は教科書内容を理解していて,理学系や工学系,もしくは教育系に進んだ・進む予定の理系の大学生(学部新$${ 1 }$$年生)を想定しています.

先ずは論理と集合・写像について学ぶことをオススメします.数学における文法の勉強のようなもので,ここをしっかり学んでおくと後々線型写像や$${ \varepsilon }$$ - $${ \delta }$$論法などを理解しやすくなります.

論理と集合・写像に関してオススメな本は
・庄田 敏宏『集合・位相に親しむ』
です.集合・位相の本にしては珍しく,説明が豊富で読みやすいです.位相分野は学部$${ 2 }$$年以降になってからでも良いでしょう.

また,これから情報科学を学んでいく人には
・嘉田 勝『論理と集合から始める数学の基礎』
もオススメです.情報科学を学ばない人であっても,第Ⅰ部と第Ⅱ部(加えて,第Ⅲ部の第$${ 16 }$$章)はとてもためになります.

将来数学科の高校教師になろうとしている人や,塾講師アルバイトで数学を教えるつもりの人は
・青木 純二『数学の真髄―論理・写像―』
を読むことを強くオススメします.かなり大学受験に寄った内容ですが,実は論理の初歩の理解には最も適した本だと思います.入試問題を解くためにも,論理についての理解は重要だということがよく分かり,受験指導に深みが出ると思います.

さて,理系大学生だと,学部$${ 1 }$$年目では主に線型代数と微分積分を学んでいくことと思います.
線型代数に関しては,先ずは
・梶原 健『線形代数のコツ』
をオススメします.直観的な説明が沢山書いてあり,線型代数で大事な直観が身につきます.

ただ,『線形代数のコツ』は扱っている話題が最小限であるため,より深く学びたくなったら別の本で学ぶ必要があります.そのときにオススメな本は
・長谷川 浩司『線型代数』
です.分かりやすく,かつ扱っている話題も豊富で,なかなか面白い本です.

微分積分に関しては,
・加藤 文元『大学教養 微分積分』
をオススメします.証明が少々大変なものに関しては証明を後回しにして,先に直観的な説明をして全体像を掴ませてくれる点や,本のレイアウトが非常に読みやすいと思います.
また,数学科の高校教師を目指す人にとって,テイラー展開で極限が求められるという話は是非とも学んでおきたいところです.

ちなみに,Twitter (𝕏) 上で度々話題になる$${\displaystyle \frac{\, dy \,}{\, dx \,} }$$は分数か否か論争ですが,
・笠原 晧司『微分積分学』

・高木 貞治『解析概論』
などは$${\displaystyle \frac{\, dy \,}{\, dx \,} }$$を紛れもなく分数として扱っている専門書です.高校生を指導する際には参考になると思います.
(本当は微分形式まで学ぶと良いのですが ⋯ .)
高木『解析概論』は入門書としてはオススメできないほどレベルが高かったり,言い回しが独特だったりと難がありますが,笠原『微分積分学』は入門書としても割とオススメできます.

一方,高木『解析概論』には沢山の話題が載っています.古臭い&説明が読みにくい等の問題はあるかもしれませんが,かなりの名著です.

※ 高木『解析概論』を始めとする著作権の切れた名著たちは,こちら↓のリンクから無料で読めます.

以上をまとめると,オススメな本は

《論理と集合・写像》
・庄田 敏宏『集合・位相に親しむ』
・嘉田 勝『論理と集合から始める数学の基礎』
・青木 純二『数学の真髄―論理・写像―』(特に受験指導をする予定がある人向け)

《線型代数》
・梶原 健『線形代数のコツ』
・長谷川 浩司『線型代数』(ちょっとレベル高め)

《微分積分》
・加藤 文元『大学教養 微分積分』
・笠原 晧司『微分積分学』(ちょっとレベル高めだが,$${\displaystyle \frac{\, dy \,}{\, dx \,} }$$が分数であることの良い説明がある)

です.参考にしてみてください.

また,本ではありませんが,黒木 玄さんによる  解説 pdf ↓ も個人的にはとてもタメになりました.
微分積分のより深い話題を学びたい場合や,高校数学を掘り下げた話題を学んで高校生への指導に役立てたい場合は参考にしてみてください.

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