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ありえない席でPerfume横浜アリーナ
最初に言っておこう。ライブが始まるまでに1000文字ほどかかるし、「ライブを観た僕に何が起こったか」をメインで書いた文章だ。ネタバレは含まれない。
ニューアルバム『Future Pop』のリリースが決まったくらいのタイミングだっただろうか。
PTA(Perfumeのファンクラブ名)歴10年の友人に頼んでチケットを取ってもらった。
ファンクラブでも外れることは結構あるらしく、当選の知らせを聞いたときは安心したものだ。
チケット転売対策で、座席の一切は当日入場するまで分からないとのこと。Perfumeも大変だなあ。
Future Popが大好きなアルバムになっていくにつれ、このアルバムのツアーに参加できる喜びが日に日に大きくなっていった。
そして色々な映像を見ていくうちに、
「あ~これ、アレだァ~!なんか決まった動きとかあったら、全部やったほうが楽しいタイプのやつだァ~!そういうやつだァ~!」
ということに気づき、また同時に語彙力が急激に乏しくなっていった。
もう好きにされたい。まな板の鯛。流れるプールの小学生。寒いときにすくめる首。
そんな心持ちでライブに臨むことに決めた。
そして迎えた12月11日、雨の新横浜に降り立つ。
駅からは横浜アリーナに向かうファンの皆さん。そこらへんで普通に働いていそうな皆さんだ。
ああ私もなんとか普通に働いており、初参加ですがお手柔らかにお願いします。
群衆に恐縮していないでさっさと入場しろ。液晶の向かいからそんな声が聞こえてくるので、友人とも無事合流したし入口に向かおうと思う。
係員にチケットを渡すと、コードが読み取られ、座席番号の書かれた紙が発行される。飛行機に搭乗するときのあの感じだ。
ウイィーンと無機質な音とともに出てきた神、いや紙には・・
「センター1列目」
思わず「え?!」と声を上げ友人の顔を確認すると、やはり彼女も驚愕の表情を顔に張り付けたまま身体は固まっている。
その刹那、オタクモードのスイッチが入ったのか「ちょっと待って待って待って何これ待って」と例の呪文を発し続けている。
そして「い、一番うしろってこと・・?」という謎の結論を出すことで、なんとか心の均衡を保とうとするも見事に失敗していた。
僕は「ちょっと一旦落ち着こう。折り畳み傘とかしまおう」と提案し、「マジで意味わかんないから、一回帰ってちょっと寝てからもう一回来ていい?」と続けた。
すでに口の中からは唾液が回収され、パッサパサである。いま食べたら死ぬもの。スコーン。自明の理。
これが例の・・
なんとか「入場する」という選択肢を選択することに成功した我々。だが正しい言葉の選択ができなくなるくらいに、人間としての機能は低下していた。
入ってすぐのエリアがすでに「近い!」という感じで、ここからさらに何十列も前に落ち着くことになるなんて意味が分からない。
ずんずんと前に進んでいくと、まごうことなき最前列。遮るものなく、目の前にはステージしかない。
開演してメンバーが現れると、まあ近い。
近すぎて意味が分からない。
さっきから意味が分からなさすぎであるが、開演してから10分くらいは本当に浮世離れした時間だったし、地に足ついていなかった。
だって、全体の演出とかお客さんの盛り上がりを見て楽しむくらいの心の準備だったのに。まさかメンバーのダンスのディティールを観ようとすることになろうとは思いもしなかったから。
座席はかしゆかの定位置に近く、特にMCとか進行の諸々はステージ上で広がるので、本当に真正面ダイレクトにかしゆかがいる・・
かしゆかは一挙手一投足が本当にかわいらしい人だ。
動いてない、喋ってないときも【その場への居方(いかた)】がかわいい。あれは一種の芸術だと思う。
ライブの途中であった、みんなで同じ動きをするレクチャーをしてるときも頭の中が【かしゆか】【かわいい】【かしゆか】の巨大文字で埋め尽くされ、内容がまったく頭に入ってこなかった。
そしてPerfume単独ライブ初参加の僕だけど、Future Popの曲は他の皆さんだって初参加だ。
Perfumeのライブは思った以上に決まりごとがなく、自由で楽しかったけど、新曲に至ってはいよいよ何も気にする必要がない。
ライブの一つのヤマ場で、Future Popの中でもかなり大好きな曲がプレイされて、もうてんで自由に踊りまくった。
あの曲もう一回体験しにいきたいな~めちゃくちゃ楽しかったな~~・・と、すでに思っちゃうくらいに。
そして最新アルバム以外からでは、友人には事前に「この曲やんないかな~、振り付けが一番好き!」と伝えていた曲を、まさかのピンポイントでやった。
衣装替えした直後にその曲が流れ始めたときは全身の力が抜け、膝から崩れ落ちそうになったけど最前列には便利な柵がある!
みんな知ってる?柵って知ってる?あるんだよなあ!
僕は柵という文明の利器に体重の一部を預けることで、横浜アリーナの最前列で膝から崩れ落ち野郎にならずに済んだ。
大好きな振り付けを、目では一生懸命見ているが、心のあらゆるフタはマンホールが地下水の勢いで浮き上がる感じになっているので、なんかもう、「私は見ました!」としか言えない。ただの目撃者だ。
また違う曲ではメンバーの気配が明らかに鋭く変わり、ダンスに込められたその気迫が圧巻。
あの曲の間は絶対に何かが降りていて、ただただ立ち尽くしてその光景を浴びることしかできなかった。
「さすがにPerfumeでも、このあとやる曲ないだろうな~・・」と思ってたら本当にそれが最後の曲となってライブは終わり、その余韻が24時間以上経った今でも続いている。
おそらく今回のような席では、次以降は観られないだろう。
でも会場全体に「この場に参加しなきゃ損!いや、参加させてくれ~!」と思わせてくれる雰囲気や居心地の良さがあり、ライブの空間として最高に楽しかった。
メンバーもMCで言ってたけど「なんかあったかい」。土地や日によっても違うのだろうけど、僕も同じことを感じていた。
ライブが終わるとまたもや「マジで意味わかんなかったわ・・」と発す僕。メンバー越しに夢を見ているような、まさしく夢のような時間はたしかに現実だった。マジで意味がわからない。
友人と駅近くの店で腰を落ち着けるわけでもなく、コンビニで各々あんまんと骨なしチキンを買い、軒先で立ち食いした。
そして「まだ現実か分からない状態での感想」を言い合って、サッと帰路についた(それが我々の自然な行動で、なんかそれがすごく良かった)こともこの先ふと思い出しそうだ。
誕生日プレゼントもいただいて、最高な日になった。
ありがとう友人、そしてありがとう、Perfume
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