公務員の苦悩 〜護られなかった者たちへ 中山七里〜
読書記録です。小説になります。
護られなかった者たちへ 中山七里 NHK出版 2018年1月発行
又吉直樹さんの火花を読んで以来、もう9年くらい小説を読んでいない私。
小説にどこか苦手意識がある私でも、物語に入っていくことができました。
380ページのボリュームがありましたが、1ページ1ページ、噛みしめながら丁寧に読み進めることができました。
主人公や登場人物の多くは公務員
警察であり
福祉保健事務所の職員であり
広い意味で、私の同業者。
上位下達の組織の人間模様、苦悩が描かれていました。
胸が締め付けれるように感じるシーンもありました。
普段の自分に矢印を向け、考えさせられるシーンもありました。
生活保護行政に携わる職員の苦悩
生活保護費を不正受給しようとする者とのせめぎ合い。身の危険を感じることも。
一方、本当に生活保護を必要としている人に支援が届けられない。
生活保護を勧めても、申請を渋る困窮者。
さらに、国は生活保護費削減を掲げ、上司から圧力がかかる。
自分との対話
上の指示に従って、粛々と仕事してれば、悩むことも少ないかも。
でもそれじゃぁ、仕事のやりがい、生きてる実感薄いよな。
別に首を切られるわけでもないのに、なんで上の指示を圧力と感じるんだろう?
自分の信念、正義を貫くには嫌われる勇気が必要だな。
物語と向き合いながら、自分自身と対話することができました。
今の課題意識とぴったり、タイムリーな本でした。
この本にたどり着いたのもご縁やつながりを感じます。
小説を読もうと思ったのが、「今年は感性を鍛えにいきたい」と語ってくれたnote友達の清瀬健太郎さんの影響だし、
「小説苦手なんだけど、小説読みたい。」っていう私に「護られなかった者たちへ」を紹介してくれた同僚のおかげ。
悩みながら、自分と対話しながら、中途半端なまま、進んでいこう。
そう思えた、貴重な読書体験でした。
ありがとうございました。