世界人口減少は移民争奪戦となるか?
「2050年世界人口大減少」ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン著・文芸春秋
著者のダリル・ブリッカー氏はパリに本社のある世界的な調査会社のCEO。ジョン・イビットソンはカナダのジャーナリストである。
マルサス「人口論」以来、世界人口増加による人口爆発が地球環境を破壊し、食料危機が叫ばれた。著者は30年後、2050年頃から世界人口は減少し、二度と増加しないと主張する。
中国は一人っ子政策で急激に人口減少し、少子高齢化が進む。米中覇権争いで2050年までに中国が米国を追い越すことは困難だ。その頃、インドが最大の人口大国となり、米国と覇権を争う。
世界人口減少の原因は「都市集中化と女性の地位向上」にあると言う。都市化と若い女性の生き方変化が先進国だけでなく、途上国でも進み、女性は子供を求めなくなる。
少子高齢化の日本は移民に抵抗する。日本は小国として生きる道しか残っていない。
2050年の世界とはどんな世界だろうか?世界中で移民争奪戦が始まり、若者の減少は世界のイノベーション力は低下させる。一方、SDGS(持続可能な開発目標)問題の解決には役立つと著者は言う。
人口増加論は一種の経済成長至上主義、大きいことは良いことだの考えに近い。一方で、現在進みつつある多様化する価値観にどのように対応するのだろうか?