兵藤恵昭・読書記録

山登り・温泉・博徒の墓巡りが趣味。博徒史に興味を持つ団塊世代。Noteブログは読書記録ブログです。 特定社会保険労務士・兵藤社会保険労務士事務所。 「博徒ブログ」も開設。下記URLクリックして下さい。https://blog.goo.ne.jp/shigeaki0303

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最近の記事

「アメリカはなぜ日本より豊かなのか?」野口悠紀雄著

「アメリカはなぜ日本より豊かなのか?」野口悠紀男著・幻冬舎新書2024年8月発行 著者は1940年生まれ、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。 2023年米国の一人当たりGDPは7.8万ドル、日本は3.5万ドル、約2.2倍である。米国はIT産業中心に技術革新が進み、日本は長期間金融緩和で、生産性は低下している。ゆえに日米の給与格差はこれ以上に大きい。 時価総額世界ランキング100社のうち、米国は61社、日本はトヨタの1社のみ。米国のマイクロソフト、アップル2社の時価総額

    • 「笑いながら怒る!お笑い維新劇場」西谷文和・佐高信著

      「笑いながら怒る!お笑い維新劇場」西谷文和・佐高信著・平凡社新書2024年8月発行 著者の佐高は1945年生まれの辛口評論家、西谷は1960年生まれフリージャーナリスト。 自民党は総裁選で石破内閣が成立。裏金問題で衆議院を解散した。自民党同様、維新の評判も良くない。維新選出の議員の不祥事は多い。 本書は二人の著者が維新不祥事ワースト10を巻頭と巻末に挙げている。共通してあげているのが吉村洋文、松井一郎、橋下徹らの創業者たち。本書発売後の兵庫県斎藤元彦知事が抜けているのが

      • 「奄美でハブを40年間研究してきました」服部正策著

        「奄美でハブを40年研究してきました」服部正策著・新潮社2024年3月発行 著者は1953年生まれ、哺乳類、爬虫類学者。専門は実験動物学、ハブの生態、ワタセジネズミ、トゲネズミなど野生哺乳類の研究。「マングースとハルジオン」の著書がある。 ハブはクサリヘビ科マムシ亜科ハブ属に分類される毒蛇。沖縄、奄美諸島に生息、体長は70cmから1.5m。最大2m近くのハブもいる。寿命は10年程。20年も生きるハブもいる。ハブの毒は神経性、筋肉性両方を含み、咬まれると強力な痛み、腫れ、吐

        • 「ハマスの実像」川上泰徳著

          「ハマスの実像」川上泰徳著・集英社新書2024年8月発行 著者は1965年生まれ、朝日新聞記者を経て、2015年よりフリーの中東ジャーナリスト。 2023年10月7日、ハマスの武装メンバーが自動小銃を持ってガザの壁を乗り越え、イスラエル入植地を攻撃して、1年が経過した。イスラエルはガザ地区へ激しい報復攻撃を実施、11月初めの1ケ月だけで1万人を超える死者が出た。 現在、死者は4万1,000人を超え、負傷者は9万7,000人以上、死者のうち子供が1万6,800人を占める。

          「平安ミステリー・知れば知るほどおもしろい」市橋章男著

          「平安ミステリー・知れば知るほどおもしろい」市橋章男著・角川2024年8月発行 著者は1954年岡崎市生まれ、岡崎長誉館で「おかざき塾歴史教室」主宰開講。専門は中世史。YouTube「なるほど!歴史ミステリー」開講。 大河ドラマ「光る君へ」で源氏物語が人気、藤原道長を新しい視点で見直されている。同時に知られざる平安貴族、女官の生活にも焦点が当たっている。知らないことばかりかもしれない。 網野善彦は「日本の歴史を見直す」で我々の原体験につながる社会への歴史のさかのぼりは室

          「平安ミステリー・知れば知るほどおもしろい」市橋章男著

          「没落官僚・国家公務員志願者がゼロになる日」中野雅至著

          「没落官僚・国家公務員志願者がゼロになる日」中野雅至著・中公新書ラクレ2024年9月発行 著者は1964年生まれ、大和郡山市役所勤務後、旧労働省入省、2004年公募により兵庫県立大学助教授、現在神戸学院大学教授。経済学博士「天下りの研究」など多くの著書がある。 「ブラック霞が関」などと言われキャリア国家公務員の職場環境の過酷さが話題である。優秀な若手が官僚を回避し、志願者数は激減、反対に外資系企業、コンサル会社への就職が増えている。 本書は、悪しき行政改革の結果、警察国

          「没落官僚・国家公務員志願者がゼロになる日」中野雅至著

          「仕立屋銀次隠し台帳」結城昌治著

          「仕立屋銀次隠し台帳」結城昌治著・講談社1978年3月発行 著者は1927年生まれ、ハードボイルド小説の先駆者と呼ばれた作家。軍部の裏面を描いた「軍旗はためく下に」で直木賞受賞。若い頃東京地方検察庁で事務官の勤務経験があり、刑事もの、探偵ものが多い。1996年69歳で死去。 本書の主人公は、スリ全盛時代の明治末期のスリの親分仕立屋銀次こと富田銀蔵。男気と統率力に魅力を感じる銀次とその子分たちの物語である。 題名「隠し台帳」とは、子分がスリ取った盗品の台帳。被害者や仕事の

          「仕立屋銀次隠し台帳」結城昌治著

          「なるほどそうだったのか!ハマスとガザ戦争」高橋和夫著

          「なるほどそうだったのか!ハマスとガザ戦争」高橋和夫著・幻冬舎2024年4月発行 著者は1951年生まれ、放送大学名誉教授。専門は中東研究。 2023年10月から始まったイスラエルのガザ攻撃はもう1年になる。死亡者は4万人を超え、半数以上が子供と女性である。ハマスはパレスチナ抵抗組織であるが、ハマスを壊滅させてもハマスはイデオロギーであり、次のハマスが生まれるだけである。 本書はイスラエル・パレスチナ問題の本質を探り、現在のガザの惨状を明らかにする。問題の本質は宗教、民

          「なるほどそうだったのか!ハマスとガザ戦争」高橋和夫著

          「初めてのマルクス」佐藤優・鎌倉孝夫

          「はじめてのマルクス」佐藤優・鎌倉孝夫著・㈱金曜日2013年12月発行 本書は、週刊金曜日に多くの記事を投稿する作家・佐藤優とマルクス経済学者で宇野理論研究者・鎌倉孝夫の対談集である。題名「はじめてのマルクス」とあるが、内容はかなり高度、資本論をかなり勉強した者でないと二人の議論についていけない。 佐藤優は1960年生まれ、国家主義的発言が多く批判もあるが、その読書量とプロテスタント神学からの批評には定評がある。 鎌倉孝夫は1934年生まれ、宇野弘蔵の三段階論(原理論・

          「初めてのマルクス」佐藤優・鎌倉孝夫

          「年金官僚・政治、メディア、積立金の翻弄されたエリートたちの記録」和田泰明著

          「ルポ年金官僚・政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録」和田泰明著・東洋経済新報社2024年4月発行 著者は1975年生まれ、山陽新聞社、大下英二事務所、週刊ポスト記者を経て、現在週刊文春特派記者。「小池百合子・権力に憑かれた女・ドキュメント東京知事の1400日」の著書がある。 著者はいう。「年金官僚にも本音は存在する。彼らの思惑を推し量り記録していくことで、現行年金制度の本質に迫れる。年金の歴史は、改革の舞台で年金官僚と政治・メディアとの壮絶な攻防があっ

          「年金官僚・政治、メディア、積立金の翻弄されたエリートたちの記録」和田泰明著

          「トランプ人気の真相」

          「トランプ人気の真相」池上彰ほか・宝島社新書2024年7月発行 本書は、池上彰、佐藤優、中林美恵子、前嶋和弘、高畑昭男、デーブスペクターの知識人6氏への米国大統領選についての質疑応答をまとめたもの。 対談は4月に実施、バイデンの候補撤退前のため、現候補カマラ・ハリス氏への論議はない。ただし彼女にはカリスマ性とリーダーとしての魅力に欠けるという。 大統領選の争点は人工中絶と移民の二つ。ともに両陣営の弱点であり、お互いの自己主張、批判だけで議論はかみ合わない。しかしそれでも両

          「トランプ人気の真相」

          「月島慕情」浅田次郎著

          「月島慕情」浅田次郎著・文春文庫2009年11月発行 著者は1951年、東京生まれ、自衛隊に入隊、アパレル業界など様々な職種につく。「蒼穹の昴」「中原の虹」など清朝末期の作品他多くの著書がある。 本書は表題「月島慕情」のほか6作品の短編集。「月島慕情」は明治末から大正にかけての吉原を舞台とした物語。同じく浅田の大正時代の作品には「天切り松・闇がたり」がある。この時代は江戸時代の雰囲気が残り、日本人の原点を感じさせる。 吉原は1911年(明治44年)に江戸時代の建物が大火

          「月島慕情」浅田次郎著

          「なぜ、あの会社はつぶれないのか?100年企業の物語」中日新聞社編

          「なぜ、あの会社はつぶれないのか?100年企業の物語」中日新聞社2024年5月発行 創業100年を超える企業は世界で約8万社、日本は4万2,900社余りと半数以上を占める。最古は578年創業の寺社建築「金剛組」。2番目は、587年創業華道の「池坊華道会」と言われる。業歴500年以上の企業は228社もある。 日本企業全体358万社のうち、100年以上業歴の老舗は1.2%の割合を占める。一方、100歳以上高齢者は9万5,000人。人口比でみると0.07%、100年企業1.2%

          「なぜ、あの会社はつぶれないのか?100年企業の物語」中日新聞社編

          「漂流する日本企業」伊丹敬之著

          「漂流する日本企業・どこで、なにを、間違え、迷走したか?」伊丹敬之著・東洋経済新報社2024年3月発行 著者は1945年生まれ、一橋大学名誉教授。宮川公男氏に師事、専門は経営学、日本企業の実証研究を行った第一世代。1987年「人本主義企業・変わる経営、変わらない原理」ほか多くの著書がある。 著者は、日本経済「失われた30年」の成長低迷の原因を日本企業の経営そのもにあると批判する。米国式株主重視経営によって、成長投資が抑制され、企業成長が実現できなかったためと言う。著者の持

          「漂流する日本企業」伊丹敬之著

          「なぜガザなのか」サラ・ロイ著

          「なぜガザなのか・パレスチナの分断、孤立化、反開発」サラ・ロイ著・青土社2024年8月発行 著者は1955年生まれ、ホロコースト生き残りのユダヤ人を両親にもつユダヤ系アメリカ人。ハーバード大中東研究所上級研究員。専門は政治経済学。「ホロコーストからガザへ・パレスチナの政治経済学」「ガザ地区・反開発の政治経済学」の著書がある。 書名に「なぜガザなのか」とある。理由はイスラエルの目的の本質がガザに現れているため。即ち、パレスチナ問題の核心がガザに現れているからだ。 本書は、

          「なぜガザなのか」サラ・ロイ著

          「内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実・改正公益通報者保護法で何がかわるのか」奥山俊宏著

          「内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実・改正公益通報者保護法で何がかわるのか」奥山俊宏著・朝日新聞出版2022年4月発行 著者は1966年生まれ、朝日新聞入社、編集委員を経て、現在上智大学教授。内部通報研究者としては第一人者である。 兵庫県斎藤元彦知事に対する元幹部局長の内部告発によるパワハラ、当該告発者特定の結果の自殺など、知事の公益通報者保護法の違反が問われている。 本書は、ジャーナリストとして、組織の内部不正告発事件にかかわってきた著者による日本の内部告

          「内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実・改正公益通報者保護法で何がかわるのか」奥山俊宏著