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人口減の日本・未来の年表

「未来の年表・業界大変化」河合雅司著・講談社現代新書2022年12月発行
著者は1963年生まれのジャーナリスト。2017年「未来の年表」がベストセラーになった。

著者は言う。人口減少対策は「夏休みの宿題」だと。いつかやらねばならないが、目前の課題処理のため、つい後回しになる。暮らしの中では、その変化は軽微、言い訳しながら、時間だけが過ぎていく。

本書前半で、人口減少日本の現実を明らかにする。各業界の今後の姿は下記のように衝撃的である。

①自動車整備業界は整備士不足で事故起こしても、車修理ができなくなる。その影響は自動車産業にも影響する。
②銀行業界はIT人材不足でネットバンキングのトラブルが続出する。
③物流業界はドライバー不足で10億トンの荷物が運べない。自動運転導入は必須である。
④住宅業界は30歳代減少で住宅が売れない。建設業界は道路等インフラ修理が不能となる。
⑤鉄道業界はローカル線赤字が拡大、5万人未満の地方自治体はサービス施設維持が困難になる。
⑥医療業界は年間960時間の時間外・休日労働を維持しても、2032年には医者供給増で患者不足が生まれる。医師の労働時間圧縮は必須である。
⑦多死社会にも関わらず、地方の寺院は消滅、葬儀業界は直送によって葬儀が省略される。
⑧警察官の老齢化が進む。50~65歳警察官の割合は2022年は21.1%、2042年には40.6%を占める。70歳以上の犯罪者を50歳代の警察官が逮捕する老齢社会である。

人口減少で日本社会はスリム化せざるを得ない。一方で保護対象の高齢国民は増加する。老々介護が現実化する。

本書後半では人口減少に対する対応策を述べている。

①量的拡大モデル、薄利多売ビジネスとの決別をする。
②選択、集中、技術革新、人的資源増大で、製品・サービスの付加価値を高める。
③年功序列人事制度廃止し、労働者のスキルアップで一人当たり労働生産性を高める。
④地方消滅防止のため、地方拠点を増加させ、多極分散から多極集中へ転換して、商圏を維持する。
⑤世界人口はアフリカ圏、インドほか南・中央アジア圏が増加する。対外貿易は将来人口で相手を決める。

古いビジネスモデル、旧態依然の産業構造のままでは人口減少に対応できない。成長がすべてではないと言う人もいる。だが「分配あっての成長」でなく、「成長あっての分配」が真実であろう。「豊かな社会」の現実化は難しい。


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