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孤独と芸術 4
どのように世界を認識しているかー脳科学
美を感じるということは、この世界にあるものを介して感じるということである。私たちは、光や音、匂いなどといった波動や粒子を、それぞれの感覚器官を通じて認識している。つまり、外界からの信号を受け取ることによってこの世界を“みている”のである。
そして、最終的に私たちは全ての感覚を同時に組み合わせて一つの体験を形成する。例えば、インドカレーを手づかみで食べている時には目も舌も鼻も指先もフルに使って料理を味わい、場合によっては店内に流れるエスニックな楽曲に耳を傾けながら“食べる”という体験を得る。
しかし、機械が同じことをするとなると、それはとても難しいものとなる。カメラで視覚情報を得て、マイクで音を拾い、各種センサーで認識した匂いや味や触感といったバラバラの情報を最後にどうにかして組み合わせなければならないからだ。末端の回路が違うので、すべての知覚をぴったり同期させるのは容易なことではない。
この「感覚の一致」をなぜ人間の私たちは意識せずともごく自然にできてしまうのか。 これは、脳科学における未解決問題のひとつである「結びつけ問題(Binding problem)」と呼ばれている。バラバラに知覚された情報を最後にどのようにして統合しているのかというメカニズムは、脳科学の分野においてもまだよくわかっていないのだ。