見出し画像

書評 ジャッカルの日 暗殺サスペンス小説の金字塔

五十路のおじさん、ばっどです。

ジャッカルの日
フレデリック・フォーサイス

フランス大統領ドゴール暗殺を企む謎の暗殺者「ジャッカル」と彼を追う刑事の物語。
ばっど的に興味深く読めたのは、当時のフランスの情勢や世相に関する描写。
アルジェリアなど植民地を手放そうとする政治的方針に対し、「いやそれおかしいでしょう」と植民地はあって当たり前と考える人たちが一定数おり、それが政情不安の火種になっていたということ。

植民地があればその地を基盤とした産業に依存する人だけでなく、そこに住む人も多数おるわけで、そういった人たちには死活問題。
そいういう人たちはイデオロギー的に植民地を維持しようとする過激派を支援したでしょう。
本作の主人公ジャッカルも、過激派組織OASに雇われたという設定です。

勿論本題?である暗殺に至るテクニックや、道具に関する内容もよくできたお話です。
1970年代生まれのばっどは、大人になってから、フォーサイス後のそういう小説に触れた後にこの本を読みましたが、読んでみてもあまり古臭さは感じません。

フォーサイスは割と最近(日本語版刊行2016年。タイトルは「アウトサイダー」)に自伝をものしていますが、これがまた面白い。
「ジャッカルの日」は取材で得た情報と創作を織り交ぜたものと言われていますが、自伝に至っては、いやアンタどう考えても話作ってるでしょ!と言いたくなる面白さでした。

ここまで書いてみて、なんとなく落合信彦氏と似てるなぁという気が。
生年も近く(落合氏42年、フォーサイス38年)、インテリジェンスの世界に通じていることが共通点。
そして自伝がどれだけホンマかわからないけど面白いというのが何よりのアレ。エンターテイメントの世界であれば、こういういかがわしい(褒めてます)人たちは大歓迎です。

読書は面白くてナンボなので。


いいなと思ったら応援しよう!