段ボールを使った椅子作り
みなさんは学生時代にどんなことを熱心に勉強されていましたか?
私は大学時代、プロダクトデザインを学ぶ学部に通っていました。
プロダクトデザインって聞き慣れないですよね。
簡単に言えば、シャーペンや車などの人間が使う製品のデザインのことになります。
シャーペン1つとっても、下記3つの要素を考える必要があると授業で教えてもらいました。
どんなコンセプトで新商品を作るのか?
コンセプトを実現するための素材は何を使うのか?
人が使いやすく、素材に合ったデザインはどんなものか?
そして、これらを簡単に学べるカリキュラムとして用意されていたのが、
段ボールで椅子を作る
だったんです。
このカリキュラムについて上記要素に当てはめてみます。
1つ目のコンセプトは簡単です。
「人が座っても壊れない椅子」ですね。
2つ目の素材は段ボールになります。
このカリキュラムでは100cm×80cmの段ボールを最大3枚まで使って良いとのことでした。
使用枚数の上限があるのも面白いですよね。
3つ目は生徒自身が考えるところになります。
人が使いやすく、段ボールを活かせるデザインを考えます。
こう見ると、ちゃんと考えられているカリキュラムであることがわかりますね。
生徒が考えるのは3つ目の要素だけなんです。
しかも、デザイナーであればCADという製図ソフトを使って設計を行うのですが、そういった高度なソフトは使わずに自由にやっていいのです。
なんて素晴らしいカリキュラムなんでしょう
カリキュラムの説明を受けた後、「使い勝手」について真っ先に思い浮かんだことがありました。
それは、収納の利便性です。
椅子って部屋に置いてあると結構スペースをとりますよね。
なので、折り畳んで収納できるようにしようと考えました。
そして、作ったのものがこちらです ↓
その名も、ISU-DAN。
当時の私のネーミングセンスで右に出る者はいないでしょう。
名前が半端なくダサいです
しかし、名前は置いておいて、80名の中の優秀作品5名に選ばれました。
利便性ももちろん考えて作っています ↓
五角形の箱を3段積み重ねると、ちょうど座りやすい椅子の高さになります。
片付ける時は、箱を全て重ねれば40cmから15cmになって収納しやすくなります。
もしも、長い間使わないようであれば、穴に指を挿すことで組み立てる前の平らな状態に戻すこともできます。
完成後のプレゼンでは、他の生徒と先生(プロのデザイナー)から「おぉ、すげえ」と歓声があがってましたので、本当に良い作品だったのだと思います。
もちろん持って帰りたいですよね。
ですが、優秀作品に選ばれた作品は来年の生徒に参考作品として見せたいそうで、大学預かりとなってしまいました。
カリキュラムが終わった後、みんな持ち帰ってる中、手持ち無沙汰で寂しかったです。
そして、一年が経過しました。
友人から質問を受けます。
「もう一年経ったからばーこしの椅子、そろそろ返されるんじゃない?まだ返されてないの?」
忘れてました。
早速回収に向かいます。
下級生の教室に到着すると、同級生で優秀作品を作った女の子が激怒しています。
なにかあったのでしょうか。
「どうしたの?下級生が壊しちゃったとかで怒ってるの?」
「ちがうよ!!優秀作品の椅子、粗大ゴミに出されて捨てられたんだよ!!」
ちょっと言ってる意味が分かんないです。
どうやったら粗大ゴミとして処理されてしまうのか笑
ということで、私は苦労して作った椅子とはもう二度と再会できませんでした。
この粗大ゴミ事件、デザイナーとして就職活動する人にとっては大きな痛手なんです。
デザイナー志望の人は、エントリーシートに追加でポートフォリオという作品集の資料をつくって就職活動します。
この記事に掲載しているISU-DANは私が過去に作ったポートフォリオから抜粋しています。
そのため、椅子が残っていればポートフォリオに載せる写真を撮り直せるのですが、現物がないのでプレゼン時の写真しか使えなくなってしまいました。
この激怒していた女の子はデザイナー志望で就職活動してました。
最終的にイグニオという会社のデザイナーとして就職しました。
私はITが本命でしたので、ポートフォリオは作ったもののデザイナーとして就職活動は本気でやってませんでした。
ただ、上記のような本気でデザイナーになりたい人にとっては致命的な事件ですよね。
ほんとこの女の子が無事にデザイナーとして就職できてよかったです。
後に聞いた話ですが、優秀作品は大学側としては寄付されたという認識だったそうです。
なので、使い終わったら捨てるという発想だったとか。
寄付なんて一度も言ってないんですけどね…。
別の機会に、他の大学時代の珍エピソードについて書いてみたいと思います。
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