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マリアン・アンダーソン シューベルト『死と乙女』(1936)
マリアン・アンダーソン(Marian Anderson, 1897年2月27日 - 1993年4月8日)。
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20世紀中盤のアメリカ合衆国において、黒人アーティストの人種差別的偏見と闘い、いくつもの黒人アーティストの障害を取り払い前進したアンダーソン。
彼女の存在、働きがなければ、その後のレオンタイン・プライスやジェシー・ノーマンの世界的活躍もなかったと言っても決して過言ではなかろう。
「演技の訓練をしたことがないから」という理由で、生涯ただ一度、1955年1月7日、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の舞台に立った(演目はヴェルディ『仮面舞踏会』でウルリカ役)以外はオペラでは歌わず、コンサート歌手としてのみ活動したアンダーソン。
黒人霊歌が素晴らしいのは言わずもがなだが、ドイツ・リートや宗教曲、そしてコンサートやレコーディングで取り上げたオペラ・アリアの数々は、まさに人種を超え、ただ純粋な深く、愛情のこもった歌に聞こえる。
シューベルトの有名な2曲『鱒』と『死と乙女』をカップリングしたこの10インチSP盤は、彼女の魅力が分かり易く凝縮された1枚だ。
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相も変わらずふぃにゃふにゃピアノのHMV-102 で再生。
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