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クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #108~エレナ・ゲルハルト シューベルト『糸を紡ぐグレートヒェン』『水の上で歌う』(1926年2月)
ドイツのメゾ・ソプラノ、エレナ・ゲルハルト(Elena Gerhardt, 1883年11月11日 - 1961年1月11日)。
彼女が1926年2月に英グラモフォンがあったヘイズのスタジオでレコーディングしたシューベルトの『糸を紡ぐグレートヒェン』(2月11日)『水の上で歌う』(2月16日)。ピアノはポーラ・ヘグナー。
まさしく拙宅に鎮座するクレデンザ蓄音機と同い年。
それまで集音器(ラッパ)に向かって演奏された音がそのまま録音され、溝に刻まれたアコースティック録音から、現在同様マイクで収録、増幅され溝に刻まれた電気録音に78rpmの制作が移っていったのが1925年。
クレデンザはそんな電気録音された78rpmを豊かに再現することを念頭に制作された大型蓄音機。
ゲルハルトはアコースティック録音も残しているが、1926年から29年にかけてシューベルトを中心にドイツ・リートの録音を集中的に行っている。
その中には女声による史上初のシューベルト『冬の旅』(8曲抜粋。女声による全曲の録音は、1935年10月17日ロンドン、アビー・ロード EMI第3スタジオで行われたロッテ・レーマンによるものまで待たなければいけなかった)の録音も含まれていた。
エレナ・ゲルハルトについてはアコースティック録音時代の78rpmを以前にもご紹介している。
ソプラノではなく、メゾ・ソプラノ、そしてキャリア・スタート時に一瞬オペラにも出演したが、すぐにリート専門の歌手となったエレナ・ゲルハルトのシューベルトは、同じくシューベルトのリート録音を数多く残したソプラノ、ロッテ・レーマン、そしてエリーザベト・シューマンのそれと印象が大きく異なる。
その声が描く世界は、寧ろゲルハルト・ヒュッシュやディートリヒ・フィッシャー=ディースカウのバリトン・ボイスに通じるものがある。
より陰影の幅が広く、深い。