G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(番外編)和楽器によるバッハ演奏
和楽器(日本の伝統楽器)によるバッハ演奏を聞いたとき、以下の記事の構想を得た。
今回は番外編と称して和楽器によるバッハ演奏をいくつか紹介したい。
1.無伴奏チェロ組曲第1番プレリュード
琴によるバッハの無伴奏作品の演奏。
琴独特の音のゆらぎも含め、低音から高音まで楽器の音色をじっくりと深く味わうことのできるこの曲は、もはや琴のための作品と言っても過言ではない。
2.無伴奏フルートのためのパルティータより《サラバンド》
続いては尺八によるバッハの無伴奏作品の演奏である。
これは、正直言ってかなりの衝撃である。胡散臭いと思わず、ぜひ聞いてみてほしい。音のゆらめき、かすれ、余韻。
尺八に特有の表現が描き出すBACH音楽の新たな可能性がここに。
3.ゴルトベルク変奏曲(アリアと30の変奏曲)
最後に、バッハの超有名ピアノ曲を琴で演奏する試み。
これはまさしく、バッハを通じて琴の音色の魅力に出会う喜びでもある。
和楽器によるクラシック音楽の演奏には、ややもすれば単なる実験ないしゲテモノの類いもあることだろう。
しかし、ここに挙げたように、バッハを通じてアジアの民族楽器たる和楽器の魅力が引き立ち、その和楽器を通じてバッハの音楽の底知れぬ魅力が浮き彫りになる、そんな幸福な関係性が豊かに結実する演奏もまた確かに存在するのだ。