大須池隠

クラシック音楽好きな趣味人🌲オルガン、チェンバロ、ピアノ、ヴァイオリン🌲前職塾講🌲 エッセイ集 https://bachundbruckner.hatenablog.com/archive

大須池隠

クラシック音楽好きな趣味人🌲オルガン、チェンバロ、ピアノ、ヴァイオリン🌲前職塾講🌲 エッセイ集 https://bachundbruckner.hatenablog.com/archive

マガジン

  • 雑文集

    音楽全般、受験国語(現代文)、自動車、モータースポーツ、日常生活、くらし、その他雑記など。

  • バッハ関連まとめ

    バッハ関連の記事についてまとめています。

  • ザ・バロック

    バロック音楽関連の記事についてまとめています。

  • ブルックナー関連まとめ

    ブルックナー関連の記事についてまとめています。

最近の記事

  • 固定された記事

G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(前編)パレストリーナからバッハへ

 バッハの代表作である『G線上のアリア』はクラシックというジャンルを超えて、今なお多くの音楽家にインスピレーションを与え続けている。  『G線上のアリア』の魅力はどこにあるのか? 楽曲分析や歴史的背景を踏まえながら、近年の動向や21世紀の最新アレンジも含めて、この曲をできるだけ多角的に見ていきたい。  前編となる今回は《パレストリーナからバッハへ》と題して、主に分析や歴史をテーマに『G線上のアリア』の魅力を再検討する。 1.メロディ×4の旋律美 『G線上のアリア』の魅力は

    • 三十代、郊外マンション、桃源郷はいづくにか。

       どんな暮らしも、三年で飽きる。    引っ越しを思い立つ。  今の家もだんだん手狭になってきた。今後のことも考えて、近場で広い家を探そう。  これだという物件を見つけて、固定費を計算する。絶望する。  ここまで、わずか三分。    現実は厳しい。  都心で貧乏生活か、さもなくば郊外。    郊外で、暮らす。  当時、都心に住んでいた私がまず真っ先に思い浮かべたのは、デカい書店や美術館まで遠くなるなぁ、ということだった。  実にのんきなものである。  ちなみに、次に思い

      • 【Portrait of BACH】三分でわかるバッハの素顔【祈り、歌え】

         クラシック音楽史上、数多の名曲で知られながら最も誤解されている作曲家と言えば、音楽の父ことバッハ(1685-1750)だろう。    学校教育で習うバッハ像はもとより、インヴェンションや平均律を通じて体感するバッハの音楽は、一種独特のものがある。    バッハの素顔とは?    珠玉のショートピースは無数にある。  これぞというものを三つだけピックアップしてみた。 祈るバッハ  セロ弾きのバッハは、踊りながら、祈る。  ここでは、通常とは異なる時間が流れている。  

        • 【クルマ】スタイリッシュでエレガントなホットハッチ【Golf R】

           費用も車検もすべてフル無視して、見た目とスペックだけで現行ハッチバックを厳選していくと、ハッチバック元祖ともいえるVWゴルフにたどり着く。 VW Golf R  ハッチバックといえば、ゴルフ。  なかでもGolf Rは、2.0lターボ、300PSオーバーのバケモノマシン。  数年前、仕事で外回り中、たまたま通りがかったディーラー店頭展示のゴルフRを見かけて一目惚れ。  先日も、出先の駐車場で見かけてジロジロ。  この値段にもなってくると選択肢は非常に多くなるから、わざ

        • 固定された記事

        G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(前編)パレストリーナからバッハへ

        マガジン

        • 雑文集
          12本
        • バッハ関連まとめ
          13本
        • ザ・バロック
          6本
        • ブルックナー関連まとめ
          8本

        記事

          元陸上部員はオニツカタイガーしか履かないのか

           持ってるスニーカー全部オニツカタイガーだけど、またオニツカタイガーのスニーカーをネットで購入してしまった件。  靴を長いこと買っておらず、スニーカーを最後に買ったのは、もう六、七年前とか。  店舗に行っても厚底ブームで、セラーノやメキシコ66のような古典的なスニーカーは皆無。時代の流れを感じざるを得ない。  というわけで、すでに持ってるセラーノと同じサイズの色違いをネットで購入。  もちろんサイズ感はばっちり。  元陸上部員としては、スニーカーはやっぱり、オニツカタイ

          元陸上部員はオニツカタイガーしか履かないのか

          【ザ・バロック】歴史的オルガン聞き比べの旅-ジルバーマン、トロイトマン、シュニットガー

           鈴木雅明によるオルガン作品集(BIS Records AB)でドイツ・オランダの歴史的オルガンを聞き比べてみよう。  今回登場する町は、チェコ国境のエルツ山脈のすそ野に位置するフライベルク、北海沿岸のフローニンゲン、両者の中間に位置する古都ゴスラーの三都市。 (都合上、フライベルク、ゴスラー、フローニンゲンと高地から低地へ順に聞き比べていくことにする。)  なお、同じ奏者の同じメーカーの録音であることに加え、曲目も前奏曲で統一し、聞き比べてみる。 ★ ★ ★ フライ

          【ザ・バロック】歴史的オルガン聞き比べの旅-ジルバーマン、トロイトマン、シュニットガー

          【ザ・バロック】ハンザ諸都市に鳴り響くシュニットガーのオルガン-17世紀ハンザバロック

           バルト海から北海に面する北ドイツとオランダには、歴史的なパイプオルガンが多数存在する。  この地にはかつてハンザ同盟という商業都市連合が存在し、中世後期を中心に絶大な影響力を誇った。  このハンザ諸都市に存在する歴史的オルガンを数多く手がけた、伝説のオルガン製作者こそ、アルプ・シュニットガー(1648-1719)である。  北ドイツのバロックオルガンを代表するビルダーは、彼をおいて他にいない。 偉大なるオルガンビルダー・シュニットガー  アルプ・シュニットガーは、叩き

          【ザ・バロック】ハンザ諸都市に鳴り響くシュニットガーのオルガン-17世紀ハンザバロック

          ノンアルビールに明日はあるか。

           健康ではなく、味にこだわったノンアルコールビールは、ふつうに美味しかった件。  ビール好き、酒好きにとって、ノンアルほど屈辱的なことはない。  事情は、お察しいただきたい。    糖質オフだとか、プリン体カットだとか、そんなことはどうだっていい。  ノンアルビールがいかに健康的な飲み物であるかを謳われても、てんで的外れでしかない。  本当に健康を気にするのであれば、そもそもビールなど話にならない。(答えは、緑茶か白湯だろう。)    ノンアルビールは、ノンアルなんだからそ

          ノンアルビールに明日はあるか。

          【ザ・バロック】ドイツバロックの森-シュメルツァー、ビーバー、ムファット、ピゼンデル

           フランスバロックは、すでに広く知られているように思える。  バロック音楽は総じてイタリアの影響が大きく、イタリアバロックと言うとほとんど重複表現にも聞こえる。    では、ドイツバロックは、どうか。  この時代、神聖ローマ帝国下のドイツは(一定期間を除き)数百年の長きにわたり群雄割拠の状態であった。  かの有名な三十年戦争の講和条約であるヴェストファーレン条約(1648年)では、実に300近くの領邦(王国公国侯国・各種中小国・有力都市・教会領)の主権が公式に認められた。

          【ザ・バロック】ドイツバロックの森-シュメルツァー、ビーバー、ムファット、ピゼンデル

          【ザ・バロック】古楽器の豊穣とバロックの香り-リュート、リコーダー、ガンバ

           近世バロックから近代古典派へと音楽スタイルが整理(市場整備)されていくなかで、楽器編成の合理化(規格統一)は急速に進み、ヴァイオリンを中心とした弦楽の均質的なサウンドがその後のクラシック音楽のベースとなっていった。 (参考)  結果として、リュートやリコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバといったバロック特有の楽器は(一時的に)表舞台から姿を消すことになる。  それらの楽器のレパートリーの大半は、やはりバロック時代のものであり、一聴するだけでバロックの濃厚な香りを楽しむことが

          【ザ・バロック】古楽器の豊穣とバロックの香り-リュート、リコーダー、ガンバ

          【ザ・バロック】バッソコンティヌオとヴァイオリン-ルネサンスの残り香とイタリアの新風

          17世紀バロック音楽を象徴するサウンドとは何だろうか?  一言でいえばそれはルネサンスのサウンドをベースにした、ヴァイオリン中心の音楽ではないだろうか。 中世ルネサンスの例  歌(歌唱)、弦楽器、管楽器、打楽器、撥弦楽器と実にバラエティーに富んだサウンドである。  もしかしたら「無○良品でかかってる音楽みたい」なのかもしれない。  さまざまな音楽に慣れ親しんだ現代人には極めて素朴なサウンドに聞こえる。 近世バロックの例  冒頭の一分間だけで、まったく新しい音楽が聞

          【ザ・バロック】バッソコンティヌオとヴァイオリン-ルネサンスの残り香とイタリアの新風

          【万年筆沼】文具好きは万年筆にたどり着く

           子どもの頃から勉強が好きというか、文章を書くのが好きだと、必然的にシャーペンやボールペンにこだわるようになる。  書く量が多いときはドクターグリップ、少ないならクルトガ。  ボールペンならジェットストリーム。  なお、異論反論は、これをすべて認める。  そのうち、自分のためだけに書くときには、万年筆が答えだということに気づく。  カートリッジ式は画期的だったし、なによりPILOTのカクノは、革命的だった。  万年筆は、めんどくさくないし、すぐ始められる。  なにより、安

          【万年筆沼】文具好きは万年筆にたどり着く

          【ザ・バロック】クラシック黎明期-ヴィヴァルディのコンチェルトとヘンデルのアリア

           モーツァルトやベートーヴェンといった古典派の音楽がいわゆるクラシックの殿堂だとすれば、そこへ至る17世紀バロックの音楽はクラシックの黎明と言えるだろう。  バロックとは、何か。  それは、ヴィヴァルディのコンチェルトと、ヘンデルのオペラアリア。  彼らなしにバロックはありえない。 器楽の確立とヴィヴァルディのコンチェルト なんと清々しく、エネルギッシュな音楽だろうか。  かつて、中世ルネサンスの時代、楽器の音楽(器楽)とは単に「歌の伴奏」もしくは「歌の代用」でしかなかっ

          【ザ・バロック】クラシック黎明期-ヴィヴァルディのコンチェルトとヘンデルのアリア

          BACH音遊び-対位法職人の休日-インヴェンションから平均律を超えて

           バッハのハ長調は、お手本のお手本である。  ド・レ・ミ・ファ・ソという最も基本的なテーマで、作曲家として、どこまでのことがやれるか。  ピアノで必ず通る道、しかしてこれこそバッハのハ長調の原点。  対位法の基本は、二声である。  では、これを三声に拡張するとどうなるか。  こうしていよいよ本格的なフーガの扉が開かれる。  ド・レ・ミ・ファ・ソという何のひねりもないテーマで、四声フーガが書けてしまう。(そして、それをハ長調からロ短調まで、全24の各調性に拡大することさえ

          BACH音遊び-対位法職人の休日-インヴェンションから平均律を超えて

          BACHオルガンコラールのモダニズム-オルゲルビュヒラインよりBWV641

           40秒ほどの、なんということもないコラールである。  それがバッハの手にかかると、こうなる。  原曲とは似ても似つかぬスーパーウルトラアレンジ。  話はそれだけではない。  300年前のドイツ・プロテスタント文化圏に特有の音楽は、そのまま現代人に直接響く。  コラール旋律はソプラノ、以下アルトテノールバスはほぼ伴奏に徹する、極めて古典派ロマン派的な音楽。だからそのままピアノで弾いてもなんの違和感もない。  これをジャズトリオでやっても、クラシックオーケストラでやって

          BACHオルガンコラールのモダニズム-オルゲルビュヒラインよりBWV641

          ブルックナーの交響曲聞き方ガイド(入門編)

           ブルックナーの交響曲は、クセが強い。  曲の長さ、音楽の展開方法、オーケストレーション、いずれもロマン派屈指のクセの強さである。  一方で、作曲者の生前から今日に至るまで、熱狂的な信奉者やマニアックな愛好家がいるのもまた事実。  彼らはただの変わり者なのだろうか。あるいは、ブルックナーの交響曲にはどんな秘密が隠されているのだろうか。  今回は、ギュンター・ヴァント指揮、ハンブルク北ドイツ放送交響楽団による往年の名演奏をめぐりながら、ブルックナーの交響曲の魅力に迫っていきた

          ブルックナーの交響曲聞き方ガイド(入門編)