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雑文集

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音楽全般、受験国語(現代文)、自動車、モータースポーツ、日常生活、くらし、その他雑記など。
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#クラシック音楽

仕事や人間関係に疲れたときに聞きたい音楽五選-バロックから現代まで

 ストレスだらけの毎日でも、音楽はひとときの安らぎを与えてくれる。  ため息が増えてきたときに聞きたい音楽を五つご紹介。 A.ペルト:ヌンク・ディミティス Nunc dimittis  無伴奏混声合唱による祈りの音楽であり、究極のヒーリングミュージックでもある。 リゲティ:ピアノ練習曲第1巻 より 第5番 Arc-en-ciel(虹)  単なるエチュードを超えた、癒しのピアノ音楽。  このほか第3巻の第15番(White on White)や第16番(Pour Iri

無敵のモーツァルトとクラシック音楽の愉しみ

 サウンドの直感的な快、これこそ音楽における唯一の真実あるいは「第一定理」だろう。  クラシックはもちろん、ジャズやロック、ブルース、ボサノヴァに至るまで、みな音楽はひとしく楽しいものだ。  その点で言えば、私を音楽の原点に立ち返らせてくれるのは、いつも決まってモーツァルトのオーケストラ曲である。  ハフナー交響曲は、ほとばしり出る音楽の愉悦である。  鮮度抜群、キレッキレの第一楽章は、まさに序曲にふさわしい。  駆け巡る音階はエネルギッシュでハツラツ、晴れやかにして爽快

カール・ズスケの芸術-私が敬愛するヴァイオリン奏者について

 カール・ズスケは旧東ドイツを代表するヴァイオリン奏者である。  参考までに、ドイツ・シャルプラッテン・リマスタリング・プロジェクトのブックレットによれば次の通り。  さて、バッハの有名なガヴォットは、彼の魅力をありのままに伝えてくれる。  テンポ、フレージング、アーティキュレーション、どれをとってもまさにお手本のような演奏だが、退屈さは皆無、むしろ聞けば聞くほどに彼の音楽の揺るぎのなさ、実直さに深く魅了される。  それでいて彼の音楽は実に気さくで、素朴ですらあり、妙な

西洋音楽史おすすめ参考書三選-点と線と面

 クラシック音楽に興味を持ち、入門本や名盤紹介本、作曲家解説本などを一通り読んだあと、西洋音楽史への理解をもう少し深めたい人向けの参考書を紹介する。  紹介にあたっては、今後のクラシック音楽人生をより豊かにするための基礎的教養を深めることをねらいとし、具体的には以下を基本的な選定基準とした。 ・入手しやすく、平易でわかりやすい記述であること ・西洋音楽史の全般にわたって、バランスよく述べられていること ・近年の音楽史研究が反映されていること 1.すぐわかる! 4コマ西洋音

オーケストラから、クラシック音楽をはじめよう。

 クラシック初心者から上級者まで、すべての愛好家に捧げる5つの名曲。これらを順にめぐりながらオーケストラ音楽ひいてはクラシック音楽の魅力についていま改めて考えてみたい。(選曲にあたっては1作品10分以内となるよう心がけつつ、私の圧倒的な独断と偏見のもと一切の妥協なく厳選した。) 1.映画音楽『スターウォーズ』(ジョン・ウィリアムズ作曲) 圧倒的なカッコよさ、その一言に尽きる。  余計な説明は一切いらない。  オーケストラは、カッコいいのだ。 2.組曲『惑星』より「木星」(

十代のうちに同じ曲をくりかえし聞くということの意味について

 十代のうちに、それもできるだけ早いうちに、これだ!という曲や演奏を何度もくりかえし聞くことには特別の意味がある。 1.同曲同演をくりかえし聞くということ 同じ曲を同じ演奏家でくりかえし聞くというのは、一種の異常行動である。普通は飽きるはずなのに、なぜか飽きることなく何度もくりかえして聞いてしまう、その偏愛。それこそその人に与えられた天賦の才である。  僕の場合は、バッハの《ブランデンブルク協奏曲》第5番ニ長調の第一楽章だった。ソロ・チェンバロの華麗なパッセージの数々、一