マガジンのカバー画像

雑文集

13
音楽全般、自動車、モータースポーツ、日常生活、くらし、その他雑記など。
運営しているクリエイター

#オーケストラ

カール・ズスケの芸術-私が敬愛するヴァイオリン奏者について

 カール・ズスケは旧東ドイツを代表するヴァイオリン奏者である。  参考までに、ドイツ・シャルプラッテン・リマスタリング・プロジェクトのブックレットによれば次の通り。  さて、バッハの有名なガヴォットは、彼の魅力をありのままに伝えてくれる。  テンポ、フレージング、アーティキュレーション、どれをとってもまさにお手本のような演奏だが、退屈さは皆無、むしろ聞けば聞くほどに彼の音楽の揺るぎのなさ、実直さに深く魅了される。  それでいて彼の音楽は実に気さくで、素朴ですらあり、妙な

オーケストラから、クラシック音楽をはじめよう。

 クラシック初心者から上級者まで、すべての愛好家に捧げる5つの名曲。これらを順にめぐりながらオーケストラ音楽ひいてはクラシック音楽の魅力についていま改めて考えてみたい。(選曲にあたっては1作品10分以内となるよう心がけつつ、私の圧倒的な独断と偏見のもと一切の妥協なく厳選した。) 1.映画音楽『スターウォーズ』(ジョン・ウィリアムズ作曲) 圧倒的なカッコよさ、その一言に尽きる。  余計な説明は一切いらない。  オーケストラは、カッコいいのだ。 2.組曲『惑星』より「木星」(

十代のうちに同じ曲をくりかえし聞くということの意味について

 十代のうちに、それもできるだけ早いうちに、これだ!という曲や演奏を何度もくりかえし聞くことには特別の意味がある。 1.同曲同演をくりかえし聞くということ 同じ曲を同じ演奏家でくりかえし聞くというのは、一種の異常行動である。普通は飽きるはずなのに、なぜか飽きることなく何度もくりかえして聞いてしまう、その偏愛。それこそその人に与えられた天賦の才である。  僕の場合は、バッハの《ブランデンブルク協奏曲》第5番ニ長調の第一楽章だった。ソロ・チェンバロの華麗なパッセージの数々、一