マガジンのカバー画像

バッハ関連まとめ

13
バッハ関連の記事についてまとめています。
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(前編)パレストリーナからバッハへ

 バッハの代表作である『G線上のアリア』はクラシックというジャンルを超えて、今なお多くの音楽家にインスピレーションを与え続けている。  『G線上のアリア』の魅力はどこにあるのか? 楽曲分析や歴史的背景を踏まえながら、近年の動向や21世紀の最新アレンジも含めて、この曲をできるだけ多角的に見ていきたい。  前編となる今回は《パレストリーナからバッハへ》と題して、主に分析や歴史をテーマに『G線上のアリア』の魅力を再検討する。 1.メロディ×4の旋律美 『G線上のアリア』の魅力は

G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(後編)アレンジの魔力と逸脱

 バッハの超有名曲をできる限り多角的に見ていく本稿について、前回は《パレストリーナからバッハへ》と題して、メロディや楽節構造の分析を通じて曲の魅力(旋律美と構造美)を再検討した。また、中世ルネサンスバロックに共通する作曲原理(旋律の重層化)を俯瞰し、バッハが過去の作曲家(特にパレストリーナ)から多くを学んでいたことについて指摘した。  前編はこちら。  後編となる今回は《アレンジの魔力と逸脱》と題して、『G線上のアリア』の様々な演奏を紹介する。  先入観を持たず、まずは聞

G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(番外編)和楽器によるバッハ演奏

 和楽器(日本の伝統楽器)によるバッハ演奏を聞いたとき、以下の記事の構想を得た。  今回は番外編と称して和楽器によるバッハ演奏をいくつか紹介したい。 1.無伴奏チェロ組曲第1番プレリュード 琴によるバッハの無伴奏作品の演奏。  琴独特の音のゆらぎも含め、低音から高音まで楽器の音色をじっくりと深く味わうことのできるこの曲は、もはや琴のための作品と言っても過言ではない。 2.無伴奏フルートのためのパルティータより《サラバンド》 続いては尺八によるバッハの無伴奏作品の演奏であ