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【鑑賞】アレック・ソス 部屋についての部屋/東京都写真美術館

Stephen Shoreに代表されるニューカラーの系譜を継いでいる、一般にはアメリカのロードトリップ系の写真を撮ることで知られているAlec Sothの展示を鑑賞。


写真集の「A Pound of Pictures」を見た時に、何気ない日常のようで、写真のコンテクストというか、コンテクストの中でのシーンを切り取る写真というか、そこに写っているものだけでは完結しないストーリーを想起させる写真を撮りつつ、写真単体での完成度の高さとの両立がすごい写真家なのだなと思っていました。

聞くところによると、テーマを決めてから写真を撮っていたとのこと。ストーリー性の強さはそこから来るのかなと思います。

写真集を見た時のメモを見返すと、中にあった言葉をうつしてました。

The pictures address themselves, before all else. What’s a spectacle!

Walt Whitman



今回の展示は部屋をテーマにしたもので、部屋に写るあらゆるものがそこにある理由を知りたくなるような感覚を覚えました。

人の本棚を見てその人の思考・嗜好を知るのが好きなので、
一冊一冊タイトルが読めるこの写真はとても興味深い


それは、なによりもサイズの大きさによる身体性にあるように思います。部屋というテーマであるからこそ、小さなサイズの写真を覗き込むのではなく大きなサイズで体感する必要性を感じました。

そして、そのサイズに引き伸ばして成立する写真、ということの凄みです。隅々までしっかりと神経が行き届いていないと大きくできませんから、スマホ画面だけで写真を見てはいけないと、つくづく思いました。

宙に浮いたように見える写真が、
大きなサイズで白壁に浮いている感じ


感覚的には、はるか昔にルーブル美術館でみた、「皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式」のようでした。

20年前の写真。改めてLightroomで編集してみました。
この絵は縦6.21m、横9.79mと圧巻の大きさ。


さらに、今回の展示で気になったのは額装です。

最初の方の作品はいわゆる絵画的な形で、額側に余白を設けた立体的なもの。

額側に余白があって立体構造。


そして、余白のないもの。

余白なし。額の影がプリントに落ちるスタイル。


プリントそのものに余白を設け、フラットな印象のもの。

プリントそのものに余白があってフラットな感じに。


そして、最近の作品は、額の中でパネルが浮いているように見えるものになっていました。パークハイアットの作品以降がこれでした。

額の中で作品が浮いている浮遊感。

おそらく作品の出所別なのだと思いますが、その作品の時代感ともあわせているように思いました。


個人的には、今年のBOTTEGA VENETAのキャンペーンの一連の写真が好きなので、これからもずっと見ていきたいと思います。


キャンペーンを見て、自分で撮ったのがこちら。

真似ることは学ぶことと思っております。

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