3/13 お宮参りがこわい, 36/40
気が重いだけだったが。
夫と話していたら気づいてしまった。
人の目が気になるだけではなかった。
今までの人生ぜんぶ、
「父親に受け入れてもらえるか?」
を前提に進んでいたのではないか、と。
「俺たちがどう思うかが一番大事だよ」
と夫は言ってくれるが、そんなことはわかってるんだ。
わかっててもどうしようもなく思考が曲げられて苦しいんだ。
「俺が守る」「俺がはっきり言うから」
それで済む話じゃない。
自分で向き合わなければ、いつまでも呪われたままだ。
もう彼が何を言っているか、申し訳ないが頭に入ってこない。
まっすぐな、けれどわかりきっていてうんざりな意見をこれ以上浴びせられたくなくて、気づいたら話を変えようとしていたけれど
「まずこの話を一旦終わらせよう」
と言われる。
声が大きくて、プレッシャーで、
考えることができなくて、苦しくなって、
嗚咽しながら泣いていた。
この人に言っても、仕方ない。
「この話について考えたくない」
「考えることができない」「できなかった、ごめん」
とようやく言うと、夫は
「そうやって言ってくれればいいんだよ、俺の方こそごめんね」
と言い、「でもさ..」とまた同じところを廻っているようだ。まったく上滑りで、何も響かない。
「あなたにはわからない」「あなたじゃわからない」「先生に話す」
というと「ごめん。」と言って、ようやく黙ってくれる。
「性格はそう簡単には変わらないですよ」と言った精神科医の顔が浮かぶ。
先生にも聞いてもらえなかったらどうしよう?
「そんなことよりも、」と言われたらどうしよう?
さっきまでおいしかったはずのご飯がもう何も要らない。
何も考えたくない、すぐにでも寝たいが
寝ようとするまでの静かな時間ほど
次から次へと襲い掛かってくる思考の波が辛い時はない。
こんな時、何か信じるものや
縋って唱えるものがあればどれほど楽だっただろうと思う。
今まで楽しかったはずの思い出も辛い、悲しい、恥ずかしい思い出に塗り替えられそうになる。
体育会系バカのバカ精神論、と夫のことを心の中でくさしてみても
むなしいだけで、そんな風に自分を守っても一時しのぎでしかない。
どうしてこんな風に生まれて、こんな風に育ってしまったのか。
申し訳ございません。
どうしてこんな人生になってしまったんだろう。
どうしてこんな人間になってしまったんだろう。
何も夫のせいじゃない。
どこでやり直せばよかったのか?
といつも考える。
どこでやり直そうとしても、まったくうまくいかない。
最終的にはいつもここだ。
もがいて当たり散らしても、メソメソ一人で泣いても、
結局ここに落ちてきて、何もできなくなる。
申し訳ございません。どうして生きているんだろう。
薬、お酒、外出、気晴らし
どれか一つでもできればよかったのに。
コロナじゃなければ。妊娠してなければ。
と考えてみても何も変わらない。
こんな風に向き合って生きるなんてできない。できなかったんだ。
死んだ方が楽そうじゃない?
楽しく過ごしたかったのに。
今日もやることがたくさんあるのに。
やりたいことがたくさんあったのに。
もうすぐ生まれちゃうのに。
夫は仕事へ行った。
帰ってきたときに顔を合わせたくないな、
何も話したくない、と思うが
家出をする勇気も、お金もない。むなしい。
起き上がる気力すらない。
吐きそう、と思ったが 吐けなかった。
思ったように書くことすらもうできない。ただただ悲しい。
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