論文の勉強法について1
はじめに
弁理士試験の論文試験の勉強方法について、少しお話していこうと思います。まずは、最初に基本的な考え方をお伝えします。
論文試験はどんな試験?
論文試験で合格するためには、まずは論文試験がどのような試験であることかを知ることが重要です。そもそも、敵を知らなければ攻略することができないからです。
論文試験を考える上で、まずは3つの考え方を抑えて下さい。
論文試験は弁理士実務のOJT
論文試験は細かい部品の組合せ
論文試験は相対評価
というこの3つの考え方が重要です。
論文試験は弁理士実務のOJT
そもそも、なぜ論文試験が課されているのでしょうか?
勝手な想像ですが、論文試験は、「法律を具体的な当てはめたらどうなるか?」という能力を見ている試験です。
短答試験=条文の細かい知識を確認する試験
に対して、論文試験は、まさに「弁理士試験に合格した後、どうやって条文を使っていくのか?」を見ている試験です。
現在は、弁理士試験に合格後、義務研修があります。
この義務研修を終了しないと、弁理士試験に登録できません。
しかし、昔は、弁理士試験に合格すれば、全員直ぐに弁理士になれました。
そうすると、「本当に、問題に対応する能力があるのか?」って力を見る必要があるわけです。
このような、問題に対応する力を見る試験が論文試験であり、口述試験です。
問題文を読んでいると、実際に弁理士業務をしていると「こういう事案あるぞ」って内容がよく出題されています。
そのとき、プロとして、弁理士はクライアントに適切な回答ができなければいけません。
この、クライアントに、丁寧に、説明する文章が、まさに論文試験の答案になります。
分割出願の項目
例えば、特許法で「分割出願」をするとします。
受験生は、気楽に、項目として「分割出願」を挙げることがあります。
しかし、「分割出願」をすると、実務上は、事務所費用+印紙代で、概ね20万~30万がかかります。
クライアントに対して、30万円かける価値がありますよ!って説明をする必要があるわけです。単に、法的に分割出願ができるから言ってみました!ではダメなわけです。
実務的な視点
これが、論文試験の一つ目の考え方である「弁理士実務のOJT」と考える理由です。
論文試験は、実務より非常に親切です。
例えば、問題文を読めば、「甲が先使用権を有するか否か」は明らかであったりします。また、問題文から、明らかに「甲が先使用権を有している」ことが解ったりします。
しかし、実務は、項目を弁理士が自分で考えて、クライアントにヒアリングをして効き出す必要があります。クライアントが親切に事例を説明してくれれば良いですが、概ね大事なことは落ちたりします。
そのとき、弁理士として、「この事案であれば、XXXと、YYYとは確認しないとだめだな」と考えてクライアントからヒアリングをします。
そのような、事案毎に要件を判断する「トリガー」を考える必要があるわけです。
この「トリガー」を、問題文から探す練習をすることで、癖が付きます。そうやって、論文試験が、弁理士実務のOJTとして機能しています。
まず、論文試験と、合格後の実務はつながっているということを強く意識することが重要です。