撮りたいのはビールではない。
ガージェリーの公式SNSをご覧いただいたお客様から「プロのカメラマンが撮影されているのですか?」と嬉しい質問をいただくことがある。実のところ使用している写真のほとんどは僕が得意先にお邪魔した際に撮影させていただいたものだ。要は飲みながら撮っている。
僕が大手ビールメーカーで働いていたときに、商品であるビールの写真を撮るのに相当の予算と労力をかけているのを見てきた。特に、グラスやジョッキに注がれたビールの写真は、いかに泡を綺麗に見せるか、きめ細かい泡になっているか、ビールと泡の割合は適当か、グラスに何かが映り込んでいないか、などについて高度な技を駆使する達人カメラマンが撮影していた。最近はデジタルカメラになり、画像の後処理をするツールが充実しているので、かなり楽になっているかもしれないが。
一方、弊社ビアスタイル21には残念ながらプロのカメラマンにお願いする予算的余裕はないし、ガージェリーは飲食店限定ビールなので、様々な飲食店の店内で写真を撮る必要がある。さらにこのSNSの時代で情報発信をするためには、できるだけ写真素材は多い方が良く、また撮った場所、つまりガージェリーを飲める飲食店に関する情報も伴っているべきだ。よって営業活動として得意先を訪問する際に撮影させていただくというのが、合理的かつ、考えうるほぼ唯一の選択肢で、社長=営業=カメラマン=ライターになっているわけ。
お店の営業中に飲みながら撮影するのには当然ながら相応の制約がある。他にお客様がいらっしゃる場合は、迷惑をかけないことが大前提であることは言うまでもないが、自分が座る席から店内はどう見えるか、光の状況はどうか、他のお客様がどこに座っているか、ビールとグラスの状態はどうかなど、パーフェクトな環境はそうない。
しかし、だからこそ、撮れる何かがあると思っている。
お客様がいらして営業をしているお店の、その時間、その空間にしかないものがある。
また、被写体が綺麗に整ったものでないからこそ、何かが伝わるということもある。
台座に置いたリュトンが真っ直ぐに立たず微妙に傾いていたり、ビールの泡が不均一だったり、撮影しているうちに泡が消えてきたので、一口ふた口飲んでしまい、飲みかけを敢えて撮ることもよくある。
実のところ、飲みかけの写真の方が好きだ。
それがガージェリーらしいとも思っている。
空間を感じ、時間を感じ、人を感じる。
そしてストーリーやドラマを感じる。
そんな写真を撮りながら、お店とガージェリーを紹介していきたい。