noteで出会った文芸するアイドル
みなさんは、顔も名前も知らない人を好きになった事はありますか?
僕はあります。
数ヶ月前に、そんな経験を生まれて初めてしました。
あれは2022年1月初旬の事でした。
なにげなくnoteを読んでいたら「出雲にっき」という人物のnoteに出会いました。
その当時僕は彼女の事を全く知らなかったのですが、なんとなく彼女の記事をクリックしたのが全ての始まりでした。
僕が最初に目にしたのは「イルミネーション・ツアー」という題名の、去年のクリスマスイヴに彼女が更新した日記でした。
その日記の冒頭の文章がこちらです。
僕はこの文章がきっかけで、彼女の事を好きになりました。
最後の一行の「電気の通った電車のシートに抱かれるクリスマスもあるね、と思う。」という文章がすごく気に入ったんです。
どこにでもあるような電車のシートに寄りかかっている日常風景を「電気の通った電車のシートに抱かれる」と言い換えた彼女の独特な比喩表現に目が止まりました。
クリスマスイヴに電車の中で一人孤独な彼女を、温かい電車のシートが「よしよし」と抱きしめているような風景を僕は想像して、なんかグッときたんです。
クリスマスイヴというシチュエーション的にも「抱かれる」という言葉が一番しっくりくる季節だし、「電車のシート」と「抱かれる」という言葉を繋ぎ合わせた所にすごくセンスを感じて「あっ、この人の文章好きだ。」と思い、一瞬で彼女のファンになりました。
ちなみに僕はこのnoteを読んだ時、彼女の顔も名前も知りませんでした。
でも彼女の事をすごく好きになったんです。
彼女の書く文章に一目惚れをしたから。
それから彼女のnoteを時間も忘れて読み耽る自分がいました。
noteを読み続けているうちに彼女が「自由律俳句」という物をやっている事も知りました。
自由律俳句とは、五七五の定型に縛られず自由な発想で作る俳句の事を言います。
彼女の作る自由律俳句はどれも素晴らしくて、僕は心を奪われました。
彼女の自由律俳句の中で、特に好きな句を3つ紹介させてください。
①「ホッチキスで止めてバラバラの心」
バラバラになった心をホッチキスで止めるという発想力がまずすごいなと思いました。
ホッチキスの芯って刺さったら痛いけど、この句ではそんな「痛い」というイメージを全く感じさせず、むしろホッチキスの固い芯がバラバラになってしまった心を「しっかり繋ぎとめる役割」として機能しているのが伝わってくる句で、彼女の独特な世界観が現れていて良いなって思いました。
バラバラになっている物を一つにまとめるというホッチキスの特性を活かした素晴らしい作品。
僕、この句すごい好きなんです。
②「手袋の無くしたほうを握ってほしい」
こちらの作品は、ド直球の胸キュン俳句ですね。
僕はこの句を読んで二つのストーリーを想像しました。
一つは、文面通り女の子が本当に手袋を無くしてしまい彼氏に甘えているシーン。
もう一つは、「手を繋ぎたい」と素直に言えないシャイな女の子が手袋を無くしたと嘘をつき「寒いから」という理由をつけて、恥ずかしそうに彼氏と手を繋ぎたがっているシーン。
自由律俳句って読み手によって解釈が無限に広がるから、こうやって一つの句からいろんな物語を考察できるのも醍醐味だなってこの句を読んで感じました。
この句も本当に大好きです。
③「カスタードクリーム空に塗ったのは僕」
この句は、カスタードクリーム色の雲が空に浮かんでいるのを彼女が見た時に思いついた作品だそうです。
カスタードクリーム色の雲を見て「カスタードクリーム空に塗った」という言葉が思いつくの、感性が豊かで鋭すぎると思いませんか?
この句を読んだ時、その発想力に圧倒されました。
自分には絶対にこんな素敵な句は作れません。
惚れ惚れするぐらい良い句。
この句もすっごい好きなんです。
このような感じで、彼女は毎回noteに素晴らしい文章を綴っています。
自由律俳句や、ショートショートや、日々の日記など。
本当に本当におすすめなので、是非みなさんにも読んでほしいです。
そして今回のnoteのタイトルにもした「文芸するアイドル」という彼女の肩書きですが、彼女には二つの顔があります。
一つは、すずめ園さんと結成した自由律俳句ユニット「ひだりききクラブ」の一員。
もう一つは、「innes(イネス)」という6人組のアイドルグループの一員。
ひだりききクラブで文芸をしながら、innesでアイドルをしているから、彼女は「文芸するアイドル」なんです。
そんな「文芸するアイドル」という肩書きが、4月24日に無くなります。
実はその日に彼女はアイドルを卒業するんです。
だから今回は「文芸するアイドル時代」の出雲にっきちゃんとの思い出をこのnoteに残しておきたくて、今こうやって記事を書いています。
今年の1月初旬に彼女のnoteに出会い感銘を受けた僕は、彼女のnoteをおすすめるこんな記事を書いてツイッターに投稿しました。
すると彼女がこのnoteを読んでくれたみたいで、リツイートしてくれたんです。
彼女に自分の思いが届いた事が、嬉しくてたまりませんでした。
僕の記事をリツイートしてくれた翌日に、たまたまinnesのライブがあったので、彼女に一目会ってみたくなって、僕はinnesのライブ会場へ向かう事にしました。
2022年1月9日、下北沢Flowers LOFT。
この日、僕は初めて彼女と会話をしました。
ライブ終了後の物販で、本人に直接noteの感想を言いました。
彼女はすごく喜んでくれて、笑顔でニコニコ僕の話を聞いてくれました。
憧れの出雲にっきちゃんに会えて、そしてお話までできて、帰り道もずっとずっと幸せな気持ちに包まれていたのを今でもはっきりと覚えています。
それから数日後、ニッポン放送で「佐藤満春のあなたの話、聴かせてください」という番組が放送されました。
この番組は「語り尽くしたい好きなものの話!誰にもわかってもらえない趣味!どうしても伝えたいこと!など熱のある話を聞き上手・佐藤満春が延々と聞き続けます!」をコンセプトに、リスナーが自分のイチオシをサトミツさんに紹介するという内容でした。
僕はにっきちゃんの文才を、サトミツさんや多くのリスナーにどうしても広めたくて、にっきちゃんがすずめ園さんとやっている「ひだりききクラブ」という自由律俳句ユニットを紹介するメールを番組に送りました。
するとメールがなんと採用され、サトミツさんも「チェックしてみるわ!」と言ってくれたんです。
ニッポン放送の電波から「出雲にっき」というフレーズが流れてきた瞬間、自分の事のように嬉しかったです。
「にっきちゃんの才能が、ラジオの前のみんなにも届け!」と思いながらメールを書いたので、本当に本当に嬉しかったんです。
そしてこのラジオには後日談があって、ラジオが放送された数日後ににっきちゃんがこんなツイートをして喜んでくれました。
そしてビックリする事に、なんとこのツイートにサトミツさんが反応してくれたんです!
しかもサトミツさん、ひだりききクラブの公式ツイッターと、にっきちゃんのツイッターもフォローしてくれていました!
きっとラジオが終わった後、にっきちゃんのnoteを読んでくれたんだと思います。
そしてにっきちゃんの文章を「いいな!」と思ってくれたんだと思います。
そうじゃなきゃ、フォローなんてしないと思いますし!
このラジオの放送後にinnesのライブを見に行ったら「お世話になってます~!」ってにっきちゃんが言いながら僕を迎え入れてくれたのもいい思い出です。
その日はにっきちゃんとサトミツさんのラジオの話をいっぱいしました。
ひだりききクラブを紹介するメールが読まれた事に対して、にっきちゃんがすごく喜んでくれていたのが、本当に嬉しかったです。
にっきちゃんとの思い出で、もう一つ忘れられない出来事があります。
それは先日放送された「ひだりきき放送局」というひだりききクラブの配信イベントでの事です。
このイベントでは視聴者から自由律俳句を募集していたので、僕も応募していました。
するとにっきちゃんが僕の句を選んでくれて番組内で紹介してくれたんです。
その紹介された句はこちらです。
「県境を彷徨うタンポポの綿毛」
選んでもらえただけでも嬉しいのに、にっきちゃんとすずめ園さんがこんな素敵な感想を言ってくれました。
出雲にっき「県境というピシッとしたピリついた感じの境目を、ふやふやと彷徨える、どっちにでも行けるタンポポの綿毛っていいな~って思った!」
すずめ園「県境に注目するっていいね。県境というきっちりした感じと、タンポポのふわふわした感じが合わさった良い句ですね!」
僕はひだりききクラブのお二人を大尊敬しているので、そんなお二人から自分の自由律俳句の感想を言ってもらえて一生の思い出になりました。
にっきちゃん、すずめ園さん、ありがとう。
そしてここからはアイドルとしてのにっきちゃんの話。
にっきちゃんを好きになったきっかけは、にっきちゃんのnoteの文章だけど、今はその文章と同じぐらいステージ上でアイドルやってるにっきちゃんも好き。
にっきちゃんのパフォーマンスが好きなんです。
声もダンスも好き。
あと特に好きなのが歌っている時の表情。
ニコッと笑顔の時もあれば、ちょっとクールな顔をする時もあったり、口を尖らせたりする時もあって、その表情のコントラストが好き。
今年のにっきちゃんの生誕ライブでやったinnesの音楽劇もすごかったな。
曲と曲の間に、にっきちゃん書き下ろしの朗読劇が入るライブをやったんですよ。
歌→朗読劇→歌→朗読劇→歌→朗読劇みたいな感じの流れの。
その朗読の台本がどれも素晴らしくて「言葉」にこだわるにっきちゃんにしか出来ない唯一無二のステージでした。
あんなアイドルのライブ初めて見た。
本当にすごかった。
あの日の朗読劇の台本、改めてじっくり読み返したいから、にっきちゃんいつかnoteで公開してくれないかな…
あとライブが終わってからいつもチェキを撮ってお話する時間も本当に楽しかったな。
「えへへ」って声を出しながら笑うにっきちゃんかわいくて好きだった。
だからそんなアイドルとしての活動がもうあと僅かなのがとても寂しいです。
にっきちゃんはアイドルを卒業するけど、文章を書く事は続けるそうです。
アイドル卒業を発表した時のコメントに「俳人、作家として一人前になれるよう、文筆業により一層精進していきます。」と書いてありました。
僕はその活動をこれからも応援したいと思っています。
にっきちゃんの自由律俳句に「いつも左手に未来」という句があります。
にっきちゃんは左利きなんですけど、彼女の左手には明るい未来がたくさん詰まっていると思います。
だってその左手からあんなにも素敵な文章を書けるんだから。
その左手から生み出された文章で、これからもいろんな人の心を揺れ動かしたり、感動させたり、うっとりさせたりするんだろうな。
そしていつか、にっきゃんが理想とする未来を、その左手で掴む日が絶対くると思ってます。
まさかnoteがきっかけでアイドルを好きになるだなんて夢にも思わなかったな。
noteをやってなかったら、にっきちゃんとはまだ出会ってなかったと思うし、ここに書いた思い出は一つも無い世界線を生きていたはずだし、そう考えるといろんな偶然が重なってにっきちゃんのnoteに出会えた奇跡に感謝しなきゃだ。
にっきちゃんと出会えたのは全部noteのおかげ。
noteやってて本当に良かった。
アイドルを卒業してしまうにっきちゃんに本当はファンレターを書こうと思ったんですけど、にっきちゃんとはnoteで出会ったし、noteがきっかけで好きになったし、これからもずっとnoteでつながっていたいから、あえてファンレターではなくて、noteを通して「アイドルとしての出雲にっき」に最初で最後のお手紙を書かせていただきました。
にっきちゃんへ
にっきちゃんの書く文章が世界で一番好きです。
そしてそれと同じぐらいアイドルとしてのにっきちゃんも好きです。
4月24日の卒業ライブまで「文芸するアイドル」として駆け抜ける出雲にっきを、最後までしっかり見届けるね!
おすすめ→出雲にっきnote(https://note.com/anone_diary/)
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このnoteを投稿した日にinnesのライブに行きました。
物販でにっきちゃんとチェキを撮ろうとしたら、手のひらを差し出すポーズをしてほしいとお願いされました。
言われた通りに、手のひらを差し出すポーズをしてチェキを撮った後「このポーズはどういう意味?」って聞いたら「分かんなーい!」と言われました。
なんだかよく分からなかったけど、僕はにっきちゃんとそのまま会話を続けました。
すると今回投稿したこのnoteを、にっきちゃんが早くも読んでくれていました。
「涙出そうになった」って言ってくれて、その言葉が嬉しくて、こちらの方こそ涙が出そうになりました。
そしてにっきちゃんがいろいろ落書きしてくれたチェキを受け取り、僕はにっきちゃんとお別れしました。
自宅に帰宅後、にっきちゃんと撮ったチェキを見返してみたら…
「ラブレターもらった」というコメント付きで、僕の手のひらにお手紙の絵を描いてくれていました。
にっきちゃんとの思い出を綴った今回のnoteを読んだ彼女が、僕からのラブレターを受け取ったみたいなチェキにしてくれてたんです。
あの時、手のひらを差し出すポーズしてって言ったのはこのためだったんだね。
note読んでくれただけでも嬉しいのに、こんな素敵なチェキまでくれてありがとう。
にっきちゃんとの忘れられない思い出がまた一つ増えたよ。